越境ECとは?始める前に知るべき市場規模や課題など基本知識を解説

越境ECは予算が潤沢にある大手企業のみ手を出せるビジネスと思われがちですが、実は個人でも輸出できるほど誰でも始められるビジネスです。とは言え、販売するそれぞれの国に応じた規制に沿って販売しなければならず、言語の壁や配送などいくつもの課題を乗り越える必要があります。

しかしどのようなことに気をつけなければならないのか、そもそも越境ECビジネスは今後どのような成長を遂げるのかなど把握しなければ新規事業として進めることができないでしょう。

そこで今回は越境ECを始める前に必要な基本知識や課題について紹介していきます。
具体的には、

  • 越境ECの市場規模
  • 越境ECが拡大している理由
  • 越境ECを運用する際に理解すべき5つの重要課題
  • 越境ECで人気プラットフォーム7選

について徹底解説していきます。

越境ECの基礎知識を知って、自社でどのような課題に向き合い対策をしていかなければならないのか把握しておきましょう。

越境ECの市場規模

越境ECはインターネットが身近で誰でもスマートフォンやパソコンを持てるようになってきてから、大きく拡大しています。今後5Gのサービスの普及や新たな配送サービスなどが増えていくことで、事業者や消費者もさらに加速していくこととなるでしょう。ここでは世界市場規模、日米中の市場規模がどのような動きなのかを紹介していきます。

越境EC世界全体の市場規模

参考:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/H30_hokokusho_new.pdf

まず世界の電子商取引(EC)市場から見ていきます。2014年には2,330億米ドル、3年後の2017年には2倍以上の5,300億米ドル、さらに2019年には3.5倍の8,260億米ドル大きく拡大し、2020年には9,940億米ドル(109兆円)を予想していました。しかしコロナウイルスの影響で予想は大きく外れてしまいましたが、経済が戻れば市場拡大がまた進んでいくと予想されるでしょう。

国別の越境EC市場規模

参考:平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/H30_hokokusho_new.pdf

2017年の日本の市場規模は953億米ドル、翌年の2018年には1,093億米ドルと大きな拡大は見られていません。その他の国も全体的には増加傾向にあるものの、前年比と比べると大きな差がありませんでした。しかし中国は2017年に11,153億米ドル、2018年には約1.5倍の15,267億米ドルにまで大きく成長しています。中国の場合はインターネットでの買い物が日常生活の一部と化していることや、自国サイトでは安全や品質面で十分に満足できないことから、信用がある越境ECを利用してさらなる利用拡大になると予想出来るでしょう。

越境ECが拡大している理由

毎年拡大成長している越境ECですが、どのような要因で注目を浴びるようになってきているのでしょうか。購入者側の心理や行動、そして販売事業者側の活用メリットについて解説していきます。

購入者側の行動

越境ECが拡大しているのにはいくつか理由があり、「スマートフォンやインターネット環境の普及」「訪日旅行者によるリピート購入」「量より質を重視」していく行動があります。

まず始めに越境ECが拡大している理由にはスマートフォンやモバイル端末の利用者が増加していることと、街のフリーWi-Fiを含め安定したインターネット環境が整ってきていることです。越境ECを利用する人の多くはスマートフォンを利用して購入しており、「ライブコマース」や「SNS」を利用できるスマートフォンが普及することで越境EC利用者も比例して拡大していくと言えるでしょう。また決済についても中国を中心として「モバイル決済」の利用率が高いことも越境ECの利用者が増える要因となっています。東南アジアでは若年層が多くGDPはこの数年で大きく成長しているため、ターゲット国候補として考える事業者も多くいます。

次に「訪日旅行者によるリピート購入」についてですが、越境ECで商品を買うまでのプロセスがあることを理解しておくことが大切です。
訪日した際に爆買いする
爆買いした商品をSNSやブログなどにアップする
気に入った商品を越境ECでリピート購入する
という流れになっています。

または
SNSやブログなどにアップされた口コミや商品レビューを見る
日本には行けないので越境ECで購入する
というパターンもあります。訪日旅行者がよく購入する商品は越境ECでも売れ行きが良くなるため、多くの人が訪日してもらうことで越境ECの売上も上がっていくのです。

最後は「量より質を重視」することですが、これまでは日常的な物は量を重視していたものが高品質な物を利用したいというニーズが多くなっていることです。特に中国では偽物や異物混入など安全面や衛生環境面などの問題によって、少し高くても安心できる商品を購入したいと思いで商品が購入されています。「日本製品」や「メイドインジャパン」は高品質で安全性が高い理由から、紙おむつ・化粧品・薬・食品など体に害がない信頼できる商品が人気です。

販売事業者側の活用メリット

参考:総務省|平成28年版情報通信白書|人口減少社会の到来
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc111110.html

販売事業者にとって越境ECを活用するメリットは「商圏が広がる」「販売コストの削減できる」の2つがあげられます。

まず1つ目の「商圏が広がる」ことについて解説していきます。日本の少子高齢化が進み、総人口は2010年をピークに減少している現実があります。国内でますます人口が減少すると国内消費も必然と減少していくことから、海外ユーザーへの販路にシフトしていくことがブランド維持には重要です。

次に2つ目の「販売コストを削減できる」についてです。インターネットを使った越境ECを利用すれば現地法人や現地拠点を持たないため、海外での人件費や家賃コストをかけずに海外展開することが可能となります。国内と海外で商圏が拡大していくと、売上も増加することに期待できるでしょう。

越境ECを運用する際に理解すべき5つの重要課題

少子高齢化が進み日本国内では売上拡大に期待できないと思い越境ECを始めようと考えている事業者も多くいるでしょう。しかし越境ECを始めるにあたり、重要な課題があることを知って対策をとっておくことが大切です。

課題①言語の壁が高い

海外のユーザーは日本語を理解出来る人がほぼいないので、商品登録・サポート・配送伝票まで多言語対応できる人材が必要です。ECビジネスに詳しい翻訳会社に依頼することで正確なテキストを作成することが可能となります。しかし新商品や質問の受け答えの度に依頼することになるので、自社で多言語ができる人材をかかえる方がさまざまな対応にも応えやすくなります。

また言語を変える必要があるように、ターゲットに合わせてサイトや商品の色を変える必要があります。これは文化や風習によって色のイメージが異なるため、ターゲットに応じてサイト全体のデザインやカラーを変えていくことが大切です。

課題②クレジットカードやモバイル決済方法

ターゲット国によってクレジットカードやモバイル決済など、利用されている決済方法は大きく異なります。例えば中国の場合は「微信支付(WeChat Pay/ウィーチャット・ペイ)」や「支付宝(Alipay/アリペイ)」のモバイル決済が中国市場全体の8割以上を占めています。台湾の場合であれば共働きの家庭が多いため、コンビニでの支払い・商品の受取方法が人気です。そのためターゲット国に応じてどのような決済方法が使用されているのか文化や属性を把握し、顧客が安心して購入できるような決済方法を導入していきましょう。

課題③在庫管理や物流

越境ECでは配送方法が大きく分けて3つあり、「自社から個別に配送」「国内の提携会社から転送」「現地に拠点を置いて現地から発送」するパターンがあります。自社から個別に配送するのはシンプルで誰でも始めやすいメリットがあります。しかし1回あたりの送料が高くなってしまうこと、複雑な税関手続きやインボイスを自社で行うこと、国ごとの規制を自社で調べ上げなくてはいけないデメリットがあります。

2つ目の国内の提携会社から転送する方法は、国内ECモールを運営しているかのような面倒な手続きを必要としないのが特徴です。配送代行会社が海外に送るための手続き資料やインボイスを現地語で作成してくれるため便利ですが、一度国内の物流拠点を挟むのでどうしても配送期間が長くなってしまいます。越境EC初心者の方は売上を増やしていくため、配送代行会社に依頼する方法がおすすめです。

3つ目の現地に拠点を置いて現地から発送は、越境EC初心者やブランドの知名度が低い場合は多額の維持コストと在庫を抱えてしまうためリスクが高くおすすめしません。しかし既に多くの顧客や知名度が高いブランドであれば、現地に拠点を置くことで早急に配送でき送料を抑えることが可能となるため顧客満足度につなげることができるでしょう。

越境ECの配送方法や配送会社について詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひご覧下さい。
(タイトル:越境ECで商品を配送する方法とは?配送会社選びのポイントや注意点も解説)
↑リンク挿入をお願いします。

課題④梱包や配送での破損リスク

日本国内であれば「下積厳禁」や「ワレモノ」の物は丁寧に取り扱ってくれますが、海外へ発送中は雑に扱われることが多く破損してしまうケースがあります。旅行や出張でスーツケースを機内に荷物へ預けた際、放り投げて積載することがあるように、購入者へ届ける商品も同じ扱いになってしまうものです。購入者の手元に届いた頃には段ボールや梱包資材が破損してしまい商品に傷が付かないようにするため、海外輸送用の丈夫な段ボール・商品にはエアクッションなどを使い安全に配送できる方法を考える必要があります。また万が一のことを考えて配送会社にある破損補償サービスを利用するのもおすすめです。

課題⑤為替リスクと手数料

日本国内の販売であれば為替が変動しても問題ありません。しかし越境ECはユーザーが海外となるため、為替変動は顧客が負担するのか出店事業者が負担するのかを考えることが必要です。現地レートで販売価格を固定した場合、出店事業者が利益または損失リスクを背負うことになります。反対に顧客へ為替リスクがある場合は、毎日・毎時間変動することで購買欲が下がってしまうことに繋がってしまうでしょう。そのため為替リスクはどうやって対処すべきか、十分に熟考することが大切となります。

越境ECで人気プラットフォーム7選

自社に合った越境ECサイトは、ターゲット国や販売カテゴリに合ったサイトを選ぶことが大切です。世界で利用されている各ECサイトにはどのような特徴があるのか、販売ターゲットエリア別に7つ紹介していきます。販売先サイトの一覧としてぜひ参考にしてください。

Amazon(米国を中心に世界各国)

https://www.amazon.com/

「Amazon」は世界17カ国の人々に利用されているサービスです。Amazonの拠点地であるアメリカ国内Eコマースの5割の売上がAmazonであり、国民5人に1人が利用している計算となっています。人気の理由は何と言っても豊富な品揃えです。数億種類のアイテムが販売され、探したいものは必ず見つけられると言っても過言ではないほど多くの商品を取り扱っています。

Amazonで海外のユーザーへ商品を販売する際は、「Amazon.co.jp(日本国内サイト)に出品して、海外へ商品を配送する」ことと「Amazon.com(米国サイト)でAmazonグローバルセリングに出品する」2つの方法があります。規約変更されることが多いのがデメリットですが、登録作業などは国内ECを行っているかのような手軽さが魅力です。

eBay(米国を中心に世界各国)

https://www.ebay.co.jp/

「ebay」はアメリカの企業で世界190カ国に大きなグローバルマーケットへ展開している、世界中1.8億人に利用されている世界最大のインターネットオークションサイトです。アメリカのシェア率はAmazonが50%、ebayは6.6%と低いですが、BtoBだけでなくBtoCにも幅広く取引できるメリットがあります。

Tmall/天猫(中国)

https://www.tmall.com/

「Tmall(天猫)」は中国では知らない人はいないほど認知度が高く、シェア率60%を超える中国最大のECモールです。Tmallは日本製品を好むユーザーが多く、ユニクロ・マツモトキヨシ・伊勢丹・三越などの多くの日本企業が出店しています。特に日本のファッションやコスメカテゴリーは人気が高いため、自社でこららのカテゴリーを取扱っている事業者におすすめです。

Vip.com/唯品会(中国)

https://www.vip.com/

「Vip.com(唯品会)」は女性アパレルやアクセサリーに特化したECモールです。中国の実店舗やECモールではコピーブランドの出品があるためユーザーからの信用が下がってしまうことが問題視されています。しかしVip.comはそういった非正規ブランドの混入を防ぐため海外のブランドメーカーから直接仕入れ、ブランドイメージを保っています。万が一コピーブランドであった場合は全額保証のサービスによって、ユーザーと事業者双方で安心・信頼度があるのが魅力です。

Yahoo!奇摩(台湾)

https://tw.yahoo.com/

「Yahoo!奇摩」は日本でもよく知られたYahoo!JAPANの台湾版ECモールです。アパレル・アクセサリー・コスメカテゴリーが人気のため、ユーザーの8割は女性となります。その他にも日本製品やアニメキャラクターグッズも人気です。特徴的なのはBtoB、BtoC、CtoCの取引が可能で、月間1,000万人が利用する巨大なモールになっています。

Shopee(東南アジア)

https://shopee.com/

「Shopee(ショッピー)」は東南アジア(シンガポール・台湾・マレーシア・タイ・インドネシア・ベトナム・フィリピン)7カ国で展開し急成長を遂げているECモールです。現在日本でも展開予定があり、数年以内に8カ国目の展開国として準備がされています。

Shopeeが他のECサイトと大きく異なるのは「東南アジアでのアプリダウンロード数1位を獲得」「2017年にアメリカNASDAQで上場」「BtoB・BtoC・CtoCの取引可能」の3つが最大の特徴です。今後の成長もとどまることなく勢いを増し続けていくことでしょう。

Lazada(東南アジア)

http://www.lazada.sg/

「Lazada」は東南アジア(タイ・インドネシア・マレーシア・シンガポール・フィリピン・ベトナム)6カ国に展開している、Shopeeの次に東南アジアで人気のある巨大ECモールです。アジア版Amazonと言われるほど取り扱い商品数が多いため、1日のサイト閲覧者数は500万人以上にものぼります。

5.まとめ

この記事ではこれから越境ECを始めようと思っている方向けに、越境ECでの基礎知識について解説しました。

まとめると

  • 越境ECの市場規模は「世界全体で拡大傾向にあり、特に中国の伸び率が高い」
  • 越境ECが拡大している理由は「スマートフォンやインターネットが普及」「訪日旅行者をきっかけに販売意欲が増加」「質より高品質さを重視」
  • 越境ECを運用する際に理解すべき5つの重要課題は「言語の壁」「国に応じた決済方法を導入」「自社に合わせた物流方法を選ぶ」「誰が為替リスクを負うのか」「破損リスク対策を考える」
  • 越境ECの人気プラットフォーム7選は「ECサイトによって異なる強みを理解しておくことが大切」

です。

越境ECは国内EC販売とは異なり、関税手続き・言語・規制など多くの課題があります。しかし訪日外国人が増加すればするほど越境ECも盛り上がる傾向にあるため、インバウンド市場が大きくなっていることと比例して自社商品の認知度や売り上げアップすることに期待できます。

しかし自社では多くの課題を解決するのはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。その際はBeeCruiseへぜひご相談ください。物流、海外プロモーション、広告運営など越境ECに関する悩みをトータルサポート致します。