商品を海外販売することは日本市場の縮小や海外消費力の成長などから、今後の事業成長において今や必要不可欠となっている状況です。また販売手法も様々な方法があり、企業側のメリット・デメリット、消費者側のメリット・デメリットがあります。
(参考:日本の商品を海外で販売する方法|おすすめ手法)
本記事では、海外販売方法の中でも特に各国現地消費者にとって購入しやすいECモールについて、1.日本の商品需要が高い国での主要ECモールはどこか、2.ECモール運用時の注意点はなにか、3.売上を伸ばすためにどのような工夫が必要かについて解説します。
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日本の商品需要が高い国はどこ?
海外販売を特にECを活用して実施する場合、どこの国をターゲットにするか、の検討が出てくるかと思いますが、ターゲットの設定方法の1つとして、日本の商品需要が高い国やエリアを選ぶことが挙げられます。
単純に市場規模や経済力などでターゲットを決めることもできますが、現地の方にとって日本の商品に対する価値があるか、は実はとても大事です。
Made in Japan人気が高い、Made in Japanではなくても日本のブランドであることに価値がある、日本の情報が現地で伝わっており、日本の商品に対する信頼の土台があるか無いかでは大きく違います。
代表的な国・地域として以下があげられます。
1.アメリカ
経済産業省が発表しており、越境ECに関する市場規模の発表なども行われる「電子商取引に関する市場調査」でも代表国として取り上げられていますが、近年Netflixなど配信サービスを通じた日本アニメの浸透や円安ドル高の影響などからアメリカでは日本の商品に対する需要が高まっています。
実際に、商品購入目的だけではもちろんありませんが、物理的な距離があるにも関わらずアメリカからの訪日旅行客は2024年1月〜9月で香港の197万人に迫る、196万人となっており、また海外の方が日本の商品を購入し越境ECとして流通している額が国内で最も多いBuyeeのデータではアメリカからの購入が1位となっています。
2.中国
アメリカ同様経済産業省の調査の代表国のもう1カ国となっています。
TEMUやSHEINなどで中国発越境ECで全世界で流通を伸ばしていますが、日本からの商品購入も引き続き需要は高くあります。
また同じく経済産業省の同調査によると全世界のインターネット購買者人口は 8 億 8,765 万人と全世界の中で圧倒的に高く(2位のインドは3.4億人)、またEC化率も48%とアメリカの15.6%、日本の13.7%と比較してもECが大きく発展し、また一般的に普及していることが分かります。
3.香港
市場規模としてはアメリカ・中国と差はつきますが、様々なジャンルにおいて日本の商品ファンが多い香港。Buyeeにおいてもアメリカに次いで香港からの購入額が2位となっています。物理的にも日本と近く、また経済的にも発展しており、日本の高額な商品やマニアックな商品も口コミで広がり購入される傾向があります。
また越境ECから一足踏み込んで現地の小売店へ卸したり代理店を見つける場合においても比較的輸入ハードルが低いエリアであるため、商材にもよりますが挑戦しやすいエリアとなっています。
4.台湾
香港同様に全体的な市場規模においては小規模かもしれませんが、日本の商品需要は非常に高く、Buyeeにおいても香港と常に2位・3位争いをしているエリアです。
また台湾現地メディアがあったり、日本の商品を紹介する台湾のインフルエンサーの存在や日本の商品を購入するための団体購入コミュニティなどの存在もあり、マーケティングもしやすいエリアとなっています。
5.東南アジア
東南アジアは現在成長中の市場として様々な業界で注目されており、実際に店舗に来るインバウンド旅行客も東南アジアからの方々が増えてきた、という企業も多くいらっしゃいます。
東南アジア一カ国ずつをターゲットにするとハードルが高いかもしれませんが、越境販売の場合一気通貫で販売できるECモールも存在しているため新たなチャレンジエリアとして展開する企業も増えてきています。
現地で人気があり越境で販売できるECモールはここ!
各国には様々なECモールがあります。ECモールの中には現地法人があり、現地に在庫がなければ店舗を開店できないECモールも多々あります。売上見込があり、多額の広告費用などの投資ができる段階になれば現地に一般貿易で商品を輸出し、現地倉庫で在庫を持つことで配送コストを抑えられ、消費者の方に安く購入頂くことができます。
ただそのためには現地法人の設立や現地在庫リスクなどの対応が必要となるため、まずは低コスト・ローリスクでチャレンジしたい場合には日本法人で対応でき、日本から直送の対応が許可されている越境セラー受入ECモールでの出店をおすすめします。
各国で越境セラー受入をしているECモールを以下ご紹介いたします。
1.アメリカ
アメリカでは有名なAmazonやebayなど日本企業ですでに利用しているECモールが多々あります。Data.ai(旧App Annie)のデータによると、ショッピングアプリ上位は言わずもがなAmazonが1位ですが、中国発のアプリSHEIN・Temuがそれに迫る勢いで成長しています。
日本からの販売を考慮する場合は赤枠で囲った、日本からの販売サポート体制があるECモールをおすすめします。
ただし2024年10月に発表されていたように、夢展望がTemuと連携するなど新たに日本企業の販売を促進する動きは出てくるかもしれません。

2.中国
中国ではEC化率が最も進んでいる国であるため、ECモール同士の戦いも熾烈となっています。ECモール毎にターゲットが分かれていたり、ユーザーに対して該当ECモールで買うメリットを常に進化させていたりとかなり消費者優位となっています。
以下それぞれのECモールの特徴ですが、アメリカ同様日本からの越境サポートがあるECモールをおすすめいたしますが、上述の通りかなり消費者優位でありセラーにとってハードルが高い条件などもあるため、しっかりとしたオペレーションの構築とルールの把握が必要となります。

3.香港
以下Data.ai(旧App Annie)のデータにあるように、香港独自のECモールは非常に少なく、また越境販売対応ができるECモールも少ないことが現状です。Taobaoアプリからも購入できるTmall Globalからの販売方法が数少ない選択肢の一つとなりえます。
※ショッピングアプリとしてのランキングとしてデータを出していますが、yuu Rewards ClubはECモールではなく、日本でいうTポイントのようなポイントアプリとなっています。

4.台湾
台湾では海外発のECモールや台湾独自のECモールなど、ECモールでの購入や販売が盛んに行われています。また日本含む海外からの越境販売を受け入れているECモールも多くあり、特にShopeeは日本法人が2020年に設立されるなど日本企業の受入にも積極的です。

5.東南アジア
東南アジアは複数国によって構成されているため、国によってはその国で誕生したECモールの人気が高いこともありますが、ここでは東南アジア全体のBig Sellerが2024年8月に出していたECモール毎の東南アジア全体月間訪問者数をベースにランキングを出しました。

日本からの越境でも販売が可能であるECモールはShopee・Lazadaと2種類あります。これらのECモールはシンガポール・マレーシア・タイなど主要国においても3位には入っており、東南アジアでの販売を検討するなら必ずチェックしておきたいECモールです。
日本企業の傾向としては、Shopeeに出店し、Shopeeが越境で対応していない国(インドネシア)をLazadaでもカバーする、などのケースがあるようです。
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ECモール出店時の最初の注意点!
上述の通りECモールは国ごとに異なるためECモールによって、ルールや運用方法が異なります。またECモールによっては同じECモールでも、国によって物流手段が異なるなどのケースもあります。
全体として以下の点にまずは注意して出店検討をしてみてください。
1.日本からの越境販売へのサポートが充実しているか
細かい注意点は、カスタマーサポート面・物流面・出品方法など数多くありますが、特にECモール初心者の方はまずはこの点の確認が非常に重要です。
楽天市場やYahoo!Shoppingなど日本のECモールで店舗運営しているから大丈夫だろう、という感覚では様々なトラブルが発生する可能性があります。
日本のECモールは出店者に対しても丁寧なガイドや無理のない運用ルールを設定しているケースが多いですが、海外のECモールは消費者の利便性を追求していることが多く、とにかく消費者優位のルールになっています。
そのためペナルティのルールが厳しかったり、UI/UXもユーザーアプリの方に多くの投資をしているため管理画面が使いづらかったりするなど苦戦することが多々あります。
そのため日本からの越境販売のサポート窓口があるか、は非常に大きな点となっております。特に初めての企業様は例えばShopeeのように日本法人がありサポートがある状態が安心です。
2.適切な販売価格で販売できるか
出店後は当然キャンペーンへの参加や広告などしっかりマーケティング活動をしていかなければ売上がつきづらいことは日本のECモールと同じですが、その前にまずは現地でちゃんと売れる価格帯になっているのか、の調査が必要です。
特に以下の点について確認いただき、競争力のある価格帯なのか、価格競争をしない場合はどのようなブランディングをするのか、を検討する必要があります。
2.1. 現地に競合が多いジャンルの商品
例えば化粧品やサプリメントなどのように、現地ブランドや韓国・ヨーロッパなどの海外からも販売されるジャンルにおいては、現地では一般的にどのくらいの価格帯で販売されているかを事前に知っておくことが重要です。
もちろん品質へのこだわりなどによって販売価格が上がり、価格だけで競争する必要は無いと思いますが、現地でその商品を広告などで見た場合にユーザーにちゃんとその商品価値が伝わる状態なのか、を考える必要があります。
2.2. 国際配送料金も含めた販売価格で現地の人は買える価格帯か
見落とされがちなのがECモールでの国際配送料金の設定ルールと配送手段によって、商品価格以外に最終的にユーザーが負担する金額がいくらになるのか、という点です。
例えば1商品注文毎に国際配送料金が発生する場合、低単価の商品を購入するユーザーにとっては商品価格自体は納得感があったとしても、最終的な負担額を考慮すると購入するに値しない、という判断をされるケースも多々あります。
そのECモールの配送料金設定ルールと、ECモールによっては物流手段が指定されているためそこを考慮して最終的な価格がいくらになるのか調査をし、場合によっては低価格帯の商品を販売対象から外す、といった対応も必要となります。
3.輸出入禁止商品に該当していないか
ECモール毎・またECモールの中でも国毎に販売できない商品ジャンルが存在しています。
また商品ジャンルの中でもかなり細かく設定されているケースもあります。
越境販売対応をしているECモールでは国ごとのNGカテゴリリストを用意しているケースが多いため、まずは自社の商品を販売していいか、を確認することをおすすめいたします。
ここまで日本の商品需要が高い国・エリアにおける人気のECモールと、ECモール出店時にまずは気を付けておきたい点についてまとめました。
ECモールによって細かい運用ルールなどがあるため、出店前にしっかりとしたルールの確認とそのルールに適用するための運用体制が必要です。
特に初めてECモールに出店する場合は、しっかりと日本法人への窓口があるECモールを選び、出店代行企業を探す、なども選択肢として考えておくと良いかもしれません。