日本企業のグローバル展開成功事例9選| 海外進出企業名の一覧も紹介

日本市場が縮小する一方で、海外では消費市場が先進国においても依然として成長しております。そのため今後も継続して事業成長を続けるために海外進出に挑戦し成功する企業が多くあります。
しかし海外市場は消費者の価値観や消費行動、また商習慣や法律まで日本と異なり0→1の事業立ち上げ力が求められます。
今回は、海外進出している企業の中でも特にオンライン・デジタルを活用して成功している企業の事例を紹介し、必要なポイントとともに見ていきます。

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業界別:日本企業が海外進出をした事例9選

日本企業が海外進出した例はいくつかありますが、成功するのは難しいもの。
ここからは、実際に海外進出をしている事例を業界別に紹介します。

アパレル業界の海外進出

株式会社ユニクロ

今では世界各国で店舗を展開しており、幅広い世代に認知され愛されるユニクロですが、実はこれまでに中国とイギリス、アメリカに進出し、失敗しています。
失敗の要因はそもそもの認知度不足で現地競合に勝てない、など他のアパレルブランドと同様にありますがそれ以外にも以下の要因があったとされています。

  • 中国  ➡︎現地の所得に合わせ低単価商品を販売した
  • イギリス➡︎現地の人材に経営を任せ、経営理念などが行き渡らなかった
  • アメリカ➡︎標準サイズの店舗数を増やした

この失敗を元に、ローカライズをすることだけではなく、現地の消費者需要や競合との差別化、更にユニクロとして大事にすべきことを意識しながら、国ごとにターゲティングやポジショニング、それに対するプロモーション方法を見直し、海外進出にリベンジし、成功しています。

  • 中国  ➡︎ターゲットを見直し、低単価商品ではなく高品質の商品を最適な価格で販売
  • イギリス➡︎現地に受けの良い商品を販売
  • アメリカ➡︎これまではラグジュアリーブランドが実施していたグローバル旗艦店戦術をとり、大々的なプロモーションを実施

株式会社ビームス

オリジナルブランド含め日本でも大人気のセレクトショップのBEAMSは、海外進出にも積極的でマーケット毎に分けた戦略をとっています。

  • アジア地域→現地法人による店舗ビジネス主体
  • 欧米地域→独自性があり競争力が高いレーベルのオリジナル商品の卸事業主体

アジア地域では台湾を中心に、

  • 中国→北京1店舗
  • 台湾→9店舗
  • 香港→3店舗
  • タイ→バンコク3店舗

と店舗を展開しています。

例えば台湾では人口・経済の中心である台北だけではなく、2024年10月、台湾南部の台南に初進出していますが、台南の熱帯気候とストリートカルチャーが盛んと言った特徴に合わせた商品構成を行っています。この気候とカルチャーに対する消費行動の違いは2022年から2度の期間限定出店を通じて市場調査を行い常設店開店への展開を行っています。

また欧米地域では、フランスなどの現地ファッション・ウィークに合わせて展示会を行っています。よくある失敗例として、現地代理店の判別があまり見定められていないなかで丸投げをして、ブランド毀損に繋がり売れなかった、ということがアパレル業界に限らず多々ありますが、「ブランドを大切に広げてくれる取引先と丁寧に商談を行う」という方針のもとアポイント制をとったことが特徴です。

株式会社ヘルツ

1973年に創業した日本国内に工房・店舗を構える革鞄工房のヘルツ社。MADE IN JAPANにこだわり、革の裁断から縫製までを全て手掛け、長く丈夫に使える物作りが多くの人に愛され、海外からもファンが多くいます。

HERZの販売チャネルは全国に展開し、工房を兼ね備えた直営店舗とオンラインストアの2つで両チャネルからも海外の方から購入されています。
インバウンド観光客の来店はコロナ後全国的に大幅に増加しましたがHERZでも同様の傾向がありました。
特に表参道店では多くの外国人観光客が来店し、ポケトーク等の翻訳機を使用しながら接客を実施。1つ1つ職人がこだわり作っているため基本的には受注生産を行うHERZ社では店頭で販売している品番数・在庫数が多いわけではありません。そのため、せっかく海外から来店頂いてもお探しの商品が無いケースもしばしばあるそう。その際はHERZ公式通販をオンラインカタログのように活用してご案内し、帰国後もオンラインで購入できる旨をチラシをお渡ししながら丁寧な接客をされています。
公式通販の越境対応にはBuyee Connectを利用されていますが、国内ファンは新商品の需要が高い一方で海外ファンは定番品など幅広い需要があるため販売する商品も分散できている状態です。

リユース業界の海外進出

株式会社ゲオホールディングス

リユース業界の中でも、最も海外店舗が多いのが「セカンドストリート」を展開するゲオホールディングス。セカンドストリートは2024年3月時点で海外に81店舗を展開しており、アメリカ35店・台湾27店・マレーシア17店・タイ1店になっています。
特にアメリカではリユース市場が2028年には700億ドルを超える成長をしており、セカンドストリートも西海岸の出店から始まり、東海岸へも進出。現地買取に加え日本からもリユース商材を輸出し現地で入手できない商材の展開にも力をいれています。
アメリカでは既にリユースショップの市場ができあがっており、上記の通り商材による差別化に加え、日本型ホスピタリティを提供するための現地人材育成も強化されています。
一方アメリカの次に店舗数が多い台湾はリユース市場がまさに発展途上であるため積極的な店舗出店をされています。

株式会社デファクトスタンダード

ブランド品の買取を積極的に行う「ブランディア」を運営するデファクトスタンダードでは2020年から海外販売を強化し、その2年後の2022年時点で全体売上構成の海外販売比率を45.8%まで高めています。
元々国内でもヤフーオークションの優秀店舗に選ばれるなどオンラインマーケットプレイスでの販売を得意としていますが、海外においてもアメリカのebay、東南アジアのShopee、フランスのヴェスティエール・コレクティブなど幅広く展開しています。
リユース業界全体に言えることですが、需要が多様化することで、これまでは安く買い取られてしまっていたものを高く買取することができ、より商品が集まりやすくなる好循環が生まれます。
実際にブランディアでは様々な国・地域に展開し、販売した商品傾向分析を行っています。、例えばアイテム別の売れ筋を見ていくと、欧米では皮革製品の需要が圧倒的に高い一方で、東アジア、東南アジアでは、売れ筋アイテムの分布に偏りが少ない結果となりました。また、日本人と体形の近い東アジア、東南アジアでは、アパレルの需要も高い事が分かりました。

また日本では売れづらく安く買取されやすい傾向にあった赤など有彩色の商品も東南アジアや北米などで需要が高いことが分かりました。

これらのデータを踏まえ、需要の高い地域で高く売ることに成功しており、過去にはShopee台湾の中古ブランド品バッグ売上の新記録を達成しました。
参考:ブランディア、東南アジア最大級のマーケットプレイスShopee・台湾エリアで中古ブランド品バッグ売上の新記録を達成!

食品業界の海外進出

味の素株式会社

国内でも有名な味の素株式会社は、旨味調味料「味の素」を中心に、さまざまな調味料を販売している会社です。

味の素株式会社の海外進出の歴史は長く、1917年、初めてニューヨークに拠点を構え、2017年には海外進出100周年を迎えています。現在では、ヨーロッパやアフリカ、北米や中南米、アジアを拠点にして30ヶ以上の拠点を持ち、130ヶ国を超える国や地域で展開しており、各国の家庭料理やレストランなど様々な場で活用されています。

味の素株式会社が進出先に選んでいるのは、人口の多い国や地域。「見つける・届ける・伝える」と言う3つの力を発揮し、海外進出を成功に収めています。

「見つける」➡︎各国で異なる嗜好性・食習慣を徹底調査、現地に適した商品開発
「届ける」 ➡︎手に入れやすく買いやすい販路を確保、価格や容量の検討
「伝える」 ➡︎ブランド宣伝戦略
自社の強みを生かした上で、海外の国ごとの状況を把握し、進出を成功させています。

株式会社伊藤久右衛門

天保3年創業、江戸時代から受け継ぐ伝統を大切にしながら、お茶の新しい価値を発信する京都・宇治のお茶屋「伊藤久右衛門」。国内外に10店舗を展開していますが、最初の海外1号店は2016年にオープンした台湾の台北中山店でした。
海外出店を計画する際に老舗企業によくあるような、現地代理店にすべて任せてしまう、という手法はとらず、オンラインストア運営で培ったノウハウを活かす形に。
当時伊藤久右衛門の公式 Facebook のフォロワー数は10万人でしたが、そのうち台湾からのフォロワーが約半数の4万1千人でした。また国内店舗で免税にて購入された方も約50%が台湾からの来店であったことから台湾の方からの需要の高さを感じて出店に乗り出したそうです。
出店までもSNSノウハウを活かし、現地普及率90%のFacebookで『伊藤久右衛門 台北中山店 公式 Facebook』を立ち上げ、開店までの状況を発信し告知。
その結果開店初日には最大50組以上のお客様がオープン待ちをしていたようです。

また実店舗だけではなく越境ECも活用しています。
コロナ収束後に拡大した海外のお客様から「海外からも購入ができないか」というご要望をもらうようになり、Buyee Connectを利用開始。
海外のお客様から予想を超えた反響と購入が続き、低単価商品が売れるのかと思っていたら一番売上がある商品は最上位商品の「宝久」でした。
より海外のお客様がオンラインでも購入しやすいよう多言語で、海外からの購入に関する説明ページを設け、購入方法についてや抹茶の点て方動画などを発信しています。

エンタメ業界の海外進出

日本発の商品の中で海外からの需要が最も高いと言えるのがアニメ・ゲームなどエンターテインメント業界の商品です。実際に日本から海外への販売で越境EC流通総額が最も多いBuyeeでは2024年上半期人気カテゴリTOP10のうち7割がエンタメ業界となっています。

(越境EC×2024年上半期トピックスより)

アニメ・ゲーム・アーティストなど幅広い分野で様々な方法で積極的に海外への投資が行われていますが代表的な各社の動きについて以下のトピックがあげられます。「¥

東宝グループ

東宝グループ経営戦略「TOHO VISION 2032」において長期ビジョンにおける成長戦略の4つのキーワードの中に「アニメーション」「海外」と発表されているように、アニメーションを中心としたIPの育成及び海外展開に対して積極的な投資を行っています。
最重要市場である北米では、2024年10月に現地でスタジオジブリの作品など日本アニメを配給する会社の買収を発表し、アニメの盛り上がりを見せる東南アジアにおいても2024年11月にシンガポール現地法人設立を発表しアジア地域全体の知的財産(IP)や映像作品のライセンス事業、グッズなどの商品事業を行うインフラ整備をしています。
北米・東南アジア以外にも、2025年第2四半期の決算説明会で松岡社長がコメントしているように、ヨーロッパ・中東・アフリカでの事業展開を目指しており、アニメやゴジラの作品の販売だけではなく、マーチャンビジネスやゲームビジネスも多角的にやっていこうという全世界でのIPインフラ化に対して積極的な投資を行っています。

バンダイナムコグループ

ライセンシー最大手のバンダイナムコグループでは中期計画(2022年4月~2025年3月)において3つのIP軸戦略の中の1つに「IP×World(IPで世界とつながる)」を掲げ、今中期計画最終年度にはグループの海外売上高比率 35%を目指しています。
プラモデルやトレーディングカードのトイホビー事業やドラゴンボールDAIMAアプリなどを展開するデジタル事業、ゲームセンターなど施設に出展するアミューズメント事業など幅広い事業展開を行っていますが、2025年3月期連結業績ではすでに海外比率が30%になっており、内訳としてもアメリカ11%・アジア10%・ヨーロッパ10%と幅広く世界に受け入れられている状況です。

まとめ

今回は、海外需要が高いアパレル・リユース・食品・エンターテインメント業界の中で、日本企業が海外進出した成功例について取り上げてきました。海外でビジネスを成功させるためには、マーケットの理解・ターゲティング・ポジショニングの工夫、販売チャネルの選択など様々な要素が必要になってきます。

国内市場同様消費者の需要や消費行動も多様化し海外での商習慣も取捨選択が必要となってきています。一昔まえの現地パートナーに丸投げしてあとはお任せします、というやり方では継続成長が難しいと考える企業も増えているように思えます。

また1つの販売チャネルに固執するのではなく消費行動や需要に合わせて多角的なアプローチをすることの重要性も見えてきました。

その国にあった、消費者の需要にあった、また自社の商品特徴に合わせた戦略を作っていくことが大事になっています。

参考:
・HERZ・伊藤旧右衛門などの詳細の事例が知りたい方はこちらの事例集をDL
・越境ECで利用されているBuyee Connectについて詳しく知りたい方はこちらの資料をDL
・リユース業界で利用されているShopeeについて詳しく知りたい方はこちらの資料をDL

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