アパレルブランドの海外進出!課題と成功のポイントは?

日本国内は人口減少により、アパレル業界に限らず市場が縮小傾向にあり、日本全体の海外進出トレンドの中で、海外市場への進出を目指すアパレルブランドも多いのではないでしょうか。日本国内では縮小傾向にあるアパレル市場も、世界全体で考えれば新興国の人口増加や経済成長に伴い以前として成長産業であり、その市場への進出は売上増加のための有効な戦略の一つといえます。今回は、日本のアパレルブランドが海外進出にあたり検討すべき進出方法や課題、そして成功のポイントをご紹介します。

日本のアパレルブランドの海外進出状況

日本のアパレルブランドの中で海外進出に成功した企業は、グローバルSPAのファーストリテイリング(ユニクロ)や良品計画、デザイナーズブランドのComme des Garcons(コム・デ・ギャルソン)、Yoji Yamamoto、Kenzo、Issei Miyake、Junya Watanabe、Michiko Koshino、レザーブランドのPORTER(ポーター)、シューズブランドのOnitsuka Tiger(オニツカタイガー)、シャツブランドのメーカーズシャツ鎌倉(鎌倉シャツ)、ジーンズブランドのジャパンブルー(桃太郎ジーンズ)などが海外進出成功例として挙げられます。

しかしながら、自動車産業など他の業種と比較すると、海外進出の規模とスピードで遅れをとっています。他主要国の繊維製品輸出額を比較した2017年度の主要国における繊維・繊維製品輸出内訳では、日本の素材メーカーの生地は競争力があるものの、アパレル製品(衣料品)の輸出は、フランスが12,731億円、ドイツが23,278億円、韓国が2,095億円なのに対し、日本は約503億円と、先進国のなかでも極めて少ない状態となっています。

近年の訪日観光客の増加に伴い、日本のアパレルブランドが外国人の目に触れる機会も多くなっており、さらなる海外展開が期待されています。国としてもアパレル事業に対し中小企業関連支援策やクールジャパン施策の活用、ジェトロと連携するなど、海外展開の取り組みを推進しています。

また、個性のあるデザイナーズブランドやストリートブランドは世界市場で今後さらに成長する可能性があると言われています。昨今の多様化する消費者ニーズをニッチなブランド商品により満たすことができ、世界に響く理念・デザインを表現できる中小ブランドにとってはチャンスが多い環境です。

(参考:
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/1806seni_kadai_torikumi2.pdf )

海外のアパレル市場の現状と今後

世界の市場で見ると、アパレル産業は成長産業に属し、2017年のローランド・ベルガー社(ドイツを拠点とするヨーロッパ最大の戦略コンサルティング会社)の予測では、「グローバルのアパレス市場は実質ベースで2025年までに年平均成長率3.6%、インフレを加味した名目ベースは7.6%であり、2015年に1,306 bil$だった市場は、2025年に2,713bil$(名目ベース)にまで成長する(図2)」とされています。

人口の拡大、新興国における中間層の拡大、グローバルSPAによるファッションの浸透、裕福そうの拡大を背景に、特に中東・アフリカや東欧、アジアでの伸びが多く、成長スピードは加速化しています。北米や西欧など先進国でも、それぞれ2.0%、0.5%の成長が見込まれており、グローバルな視点で見ると、アパレル市場には現在も成長の余地があることがわかります。

(参考:https://rolandberger.tokyo/news/364/ )

アパレルの海外進出方法

越境EC

日本にいながらインターネット上でブランド商品を販売し、海外の顧客へ直接発送する手段として、越境ECが挙げられます。地理的な制約を受けない販売チャネルであり、現地への人材派遣や事務所の設立、店舗展開などと比べて投資額が少なく済むことがメリットです。また、一つの地域に限らず、世界中の広い市場を対象に販売することが可能です。

越境ECでの展開プロセスは、「事業環境調査」「ECサイト立ち上げ」「プロモーション」「決済」「配送」の5つのステップで行います。

ステップ1.事業環境調査

各国の環境を調べ、どの国の消費者に向けて販売するのか検討します。その国で多く利用されるモールへの出店は可能なのか、自社のサイトで販売する場合どの言語に対応するのかを決定します。

ステップ2.ECサイト立ち上げ

自社商品をどこで販売するのかを決定します。①自社でECサイトを立ち上げる、②対象国のモール/海外向け商品を販売するモールに出店する、③現地パートナー企業やアパレルサイトに卸し、販売は現地企業が行う、といった3つのパターンが考えられます。

ステップ3.プロモーション

対象の国や地域、ターゲット顧客に合わせてプロモーション方法と施策を検討します。ステップ2で決めた販売方法に適切なマーケティング、プロモーション方法を選択します。

ステップ4.決済

決済環境を整備します。決済後に顧客が物品の輸入に対する関税や現地の消費税を支払う必要がある場合があります。事前に税制について調べ、サイト上関税見込み額を明記するなど対策することで、安心でスムーズな取引を行うことができます。

ステップ5.配送

発送方法の決定があります。①自社より消費者向けに直接発送する、②日本国内の海外発送サービスを提供する事業者と提携し、注文毎に自社より事業者へ発送したのち、事業者より現地の顧客に発送する、③現地に物流拠点を持ち、現地拠点より消費者に発送する、の主に3つのパターンが考えられます。

(参考:https://www.mirasapo.jp/overseas/information/ec/step.html )

輸出・卸売

販売を現地企業に任せる方法として、貿易を通じての卸売と代理店取引が挙げられます。現地のアパレル小売事業者や、現地のアパレル商社に対して卸売する形態、また現地の販売店や代理店と契約を結び販売を委託する形態があります。

メリットとして、現地業者と直接交渉することで、現地市場での価格・流行などのタイムリーな状況把握が可能になり、社内での貿易に関するノウハウ蓄積、人材育成が可能となります。現地企業が持つ既存のネットワークにより、自社で直接販路開拓を行うのと比較して、展開スピードが早められることが期待できます。

デメリットとしては、価格や販売方法が現地事業者任せになり、品質管理、価格管理、マーケティングのコントロールが困難になる点が挙げられます。また、信頼できる現地事業者を探すのに、時間と手間がかかります。

直営店

自社ブランドを現地に店舗を持って海外の顧客に直接販売する方法として、直営店があります。マーケティング施策の実施から販売まで、全てを自社の裁量で行うことができ、また現地市場の一次情報が把握しやすいというメリットがあります。現地企業への卸売や代理店契約ではコントロールの難しい、ブランドが持つ価値観や理念を直接顧客へ伝え、店舗で経験してもらうことができます。

デメリットとしては、自社に海外進出に関してノウハウがない場合、現地での事業所設立、販売店のオープン、英語や現地語のできる人材の確保、現地でのビザ申請や現地従業員の採用、など全てを自社で行い、問題が起こった場合にも自社で解決する必要があることです。現地でのコネクションがない場合には、0からネットワークを築く必要があります。

アパレル海外進出の課題

ターゲット地域の選定

特に海外を対象とする時にターゲットとなる顧客を定めることは、日本国内のターゲット顧客を定めるのと比較して一段と難しく感じるかもしれません。しかしマーケティング戦略が「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」を定めることであるように、ターゲット顧客を明確にすることは一番初めのステップであり大変重要です。

ターゲットとする地域、顧客によって、使用する言語はもちろん、法律や税制や政治経済リスク、地理的リスクも異なるため、海外進出のために必要な社内リソースと準備、マーケティング施策、も全く違うものとなります。また越境ECの場合「海外」という広範囲に対する販売が可能ですが、マーケティング施策の実行においてはターゲットとなる地域と顧客を明確にした施策の方が響きやすくなります。

現在では一つの地域であっても、顧客ニーズが多様化してきているため、自社ブランドの製品が最も満足させることができ、競合優位性を持つことのできるターゲット顧客を選択する必要があります。ターゲット地域を定めるだけでなく、その地域の誰なのかを、年齢、性別、ライフスタイル、パーソナリティー、使用場面といった軸で細分化し、検討します。

人口が多い国、GFPランキングの高い国などで判断されがちですが、アパレルブランドという製品柄、自社ブランドが持つストーリー、理念、デザインへのこだわりといった付加価値への感受性が高い地域・消費者なのかの調査は重要です。またその地域の顧客セグメントの規模は十分か、収益可能性を持っているか、など、当該地域のファッション市場の規模や動向、現地の競合ブランドについても十分に調査し、自社ブランドが競合優位性を持つことのできるターゲット地域・顧客を選択します。

直営店を設けての体験の提供

日本の中小アパレルブランドにとって、海外で自社の直営店を持ち、直接販売を手掛けるのは難しく、現地企業に販売を任せる形を取りがちです。しかし販売を現地のアパレル卸売企業や小売業任せにすると、自社マーケティング戦略の実行やブランドイメージのコントロールがしにくい上、現地企業に利益をほとんど取られてしまい、成功させるのは難しいと言えます。

また昨今では越境ECを利用して、現地に店舗を持っていなくても手軽に海外へ商品を届けることができますが、ブランド価値を体験してもらい、メディアとして発信する場としては直営店には敵いません。

長期的に見て海外進出を成功させ、現地でブランドとしての地位を確立するためには、海外小売を他社任せにせず、自社が直接販売する直営店を設け、自社ブランドのストーリー、理念、デザインへのこだわりを手に取って体験してもらい、価値を体験してもらうことが肝心です。

(参考:https://www.projectdesign.jp/201706/new-fashion-business/003671.php )

海外進出を成功させるポイント

高付加価値のブランドを創る

ブランドの背景にある印象的な歴史やストーリー、独自のクリエイティビティやデザイン性、社会が抱える課題を解決する、などといった、「高い付加価値」を感じさせるブランドを作ることが、日本のアパレル企業が海外進出する上での1つのポイントといえます。

現在では世界中で、ファストファッションをはじめある程度のデザイン性のあるアパレル商品を低価格で購入することができ、そういった企業と同価格帯の商品で勝負するのは知名度や資金力の面でも困難となります。したがって、自社の商品を購入することで顧客が特別な価値を実感できる高付加価値のブランドと商品作りに注力し、そのブランド価値を顧客に届けるためのマーケティング戦略から念入りに検討することが大切です。

日本のアパレルメーカーの品質へのこだわりは海外で人気があり、細部までこだわった縫製とデザインは、高い付加価値として今後さらに世界から評価される可能性を十分に秘めていると考えられます。

カテゴリーを絞る

アウトドアブランド、スーツブランド、靴ブランドなど、特定の用途やアイテムに特化することで、多種多様な商品を扱うブランドよりも独自性が顧客にとってわかりやすく、「○○といえば、あのブランド」と印象付けることができます。
近年消費者の好みは多様化しており、ニッチなニーズを捉え、世界の人々に響く理念とそのデザインを表現するブランドであれば、世界に出ることで成長できる可能性が大いにあります。

特定のアイテムや用途に絞って成功した日本のアパレルブランドとして、レザーブランドのPORTER(ポーター)、シューズブランドのOnitsuka Tiger(オニツカタイガー)など、挙げられます。

(参考:https://www.businessinsider.jp/post-34639 )

まとめ

ファストファッションブランドの台頭で安価なアパレル製品が世界中で買えるようになった今、海外で評価される付加価値を持った日本のアパレルブランドを構築し発信していく必要があります。「着る」「おしゃれ」という価値に加え、ブランドストーリー、独自のデザイン性、社会的課題への取組などを通じて別の付加価値を感じさせ、理念に共感されるようなブランド作りが重要と言えます。日本的な品質の細部へのこだわり、デザイン性への評価は高まっており、環境に配慮したサステイナブルな生活が世界的なトレンドとなっていることからも、長く大切に着ることのできる高品質な商品は今後さらに受け入れられていく可能性があります。

BeeCruiseでは、海外進出を支援する事業を行っております。海外への商品・サービス展開をご検討される際にはぜひBeeCruiseにお問い合わせください。