ECサイトで利益を上げるために欠かせないのがSEOの問題です。世間では、SEO対策のセミナーや勉強会が多数開催されています。ECサイトのSEOは、ターゲットや商材、時期、検索エンジンのアルゴリズム変更によっても変化するので、基本を知っている方でもかなり複雑です。今回は、専門知識がない方でも比較的、手をつけやすいSEO対策の項目についてご紹介します。
目次
ECサイトに必要なSEO対策
ECサイトを運営する上で、効率よく集客し、売上や利益を獲得するにはSEO対策がかかせません。どんなに、広告費をかけて販促活動をしても、その受け皿となるECサイトのSEO対策がきちんとおこなわれてなければ片手落ちで効果を最大限に発揮することが出来ません。ここでは、そんなECサイトに必要なSEO対策についてご紹介しましょう。
商品検索ページのSEO対策が特に重要
ECサイトはお客様に商品を購入していただくためのサイトなので、TOPページやランディングページも重要ですが、商品検索ページのSEO対策が特に重要です。商品検索ページのSEO対策がしっかりとされていれば、検索結果で商品検索ページが上位に表示されることもあります。商品検索ページはお客様が商品を見つけやすくする為のページなので対策がしっかりとされていて魅力あるページであれば商品購入につながりやすくなります。
ECサイトのサイト構成を意識したSEO対策が必要
SEO対策をおこなう上で、ECサイトのディレクトリ(階層)というのは非常に重要となっています。ディレクトリが複雑であったり、深すぎると検索エンジンにクローリングされにくくなるので、結果的に素晴らしいECサイトを作ったのに検索表示順位が上がらないということもおこります。また、ディレクトリが複雑すぎるとお客様をECサイト内で迷わせる原因にもなり、商品を買うという目的に達するまでに離脱させてしまうこともあります。ECサイトで成功している方の中には、自分が運営するECサイトのディレクトリは必ず3階層までしか作らないと決めている方もいるほど重要なものです。さらに、テーマにあわせてディレクトリを整理するとテーマによって、狙いたいキーワードが明確になるので、のちのちSEO対策をおこなう時に戦略を決めやすくなります。これからECサイトを構築するという場合は、このサイト構成をしっかり考えておくと後々SEO対策が楽になります。
ページ数を活かしたSEO対策
SEO初心者の方が簡単に出来るSEO対策として、ECサイト内のページ数を増やすという手法があります。特にECサイト開設直後やしばらく放置していて情報量が少ないという時には、まずページ数を増やすことからはじめましょう。例えば、1日に100人が訪れるページを作れるとして、ECサイト内が5ページの場合、単純計算すれば1日500人ですが、これが50ページだった場合どうでしょう。単純計算でも100人×50ページで5000人となります。ページの質によっても集客力は異なるので、一概には言えませんが一般的に入り口が多くなれば多くなるほどお客様の目にも止まりやすく、検索で引っ掛かることも多くなり、より多くのお客様が訪れてくれるので、商品やサービスをECで販売する機会につながります。
ロングテールキーワードを狙ったSEO対策
ロングテールキーワードは、検索ボリュームの少ない複数の単語を掛け合わせた検索キーワードのことで、月間の検索ボリュームが1000回以下未満のものです。
例えば「EC」は検索数の多いBIGキーワードですが、「越境 EC 中国」は検索ボリューム1000以下のロングテールキーワードとなります。
「検索ボリュームの少ないロングテールキーワードで対策しても意味がないんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、このロングテールキーワードでのSEO対策こそ重要なのです。販促活動やSEO対策を考えると、あれもこれもすることがあって、その重要性を知りながらも、ロングテールキーワードでのSEO対策を後回しにしてしまっている事業者も少なくありません。そのため、ロングテールキーワードでSEO対策をしっかりとおこなえば、ロングテールキーワードで検索された際に上位表示されやすくなります。1つのロングテールキーワード自体の検索ボリュームは少ないですが、これを数十個、数百個と積み重ねれば、ビッグキーワードを超える成果を発揮することもあります。
競合が少ないキーワードの選定
キーワードでのSEO対策をおこなう場合、初めに行うのがキーワード選びです。キーワード選びのポイントは少しでも競合が少ないキーワードを選ぶことが大切です。多くの方は検索キーワードを選ぶ際、商品購入など成果に直結しやすい顕在顧客が検索時に入力するキーワードを選んでしまいがちですが、こうしたキーワードは成果につながりやすい反面、競合が多くなります。そこで、競合が少ないキーワードを選ぶために目を向けるべきなのが潜在顧客です。まず最初に、自社の商品やサービスのターゲットとなる潜在顧客の顧客像を具体的に洗い出します。そして、その顧客が検索しそうなキーワードをピックアップします。ここでは、「引っ越し」というキーワードで考えてみます。ただし、このキーワードでそのまま対策しても競合が多いので、このキーワードそのままではなく少し見方を変えて競合が少ないキーワードを選びます。例えば、小さな引っ越し業者がキーワード選定をおこないたい場合、「引っ越し 見積」などではなく「転勤 準備」や「転勤 異動」などのように、あえて少しずれたキーワードを選びます。これらのキーワードで実際に検索してみるとわかりますが、1ページ目でも競合となる引っ越し業者はほとんど出てきませんし、大手の引っ越し業者も出てこないので、検索ボリューム自体は少ないかもしれませんが、はじめての転勤でまず何から準備したらいいのか分からず「転勤 準備」と検索した方にピンポイントで見てもらいやすくなります。
コンバージョンに繋がりやすいキーワードの選定
ecサイトのSEO対策を考えるうえでアクセス数はもちろん重要ですが、それ以上に大切なのが注文や問い合わせにつながるコンバージョンです。ビッグキーワードでどんなにアクセス数が多くてもコンバージョン率が低ければ、売上や利益につながりにくくなります。その反対に、アクセス数がそんなに大きくないキーワードてもコンバージョン率が高ければ、効率よく顧客を獲得することができ、結果的にビッグキーワードで対策した場合よりもコンバージョンに繋がりやすいキーワードで対策したほうが利益が上がったというケースもあります。ロングテールキーワードのなかには、コンバージョンにつながるキーワードもたくさん含まれています。コンバージョンにつながりやすいキーワードの選定する場合は、ロングテールキーワードを意識しながら、行動につながりやすいキーワードを選ぶようにすると良いでしょう。また、お悩み系のキーワードは、ユーザーが解決したいという意識が高いのでコンバージョン率が高くなる傾向があります。
タイトルやディスクリプションの改善
タイトルやディスクリプションは、検索エンジンで検索した際にWebページの説明文として表示されるので、このタイトルとディスクリプションを見てお客様がクリックしてECサイトを訪れたくなるような内容にすることが大切です。
ただし、クリックされればなんでも良いというわけではなく、どんな内容が書かれているページなのか、どんな商品が載っているページなのかなどをキーワードを入れて端的にまとめることが大切です。さらに、タイトルやディスクリプションを見て気になったからサイトを訪問したのに、その内容が書かれていないとせっかく訪れてくれたお客様をがっかりさせることがないようにしましょう。文章の後ろのほうは省略されてしまう場合があるので、文字数の目安としては、パソコンで120文字程度、スマートフォンでは50文字程度で重要なことを前のほうに書くようにしましょう。
ECサイト全体のSEO対策
これまでは検索エンジンの中でお客様に見つけてもらいECサイトへ訪れてもらうための対策について見てきました。ここからはECサイト内のSEO対策についてみていきましょう。
モバイルフレンドリー設計
2015年4月にGoogleでモバイルフレンドリーアップデートがおこなわれました。
このアップデートにより、スマートフォンの閲覧に適さないサイトの順位を引き下げられるようになりました。そのためモバイルユーザーが閲覧しやすいよう、ECサイトをモバイルフレンドリーにすることが大切です。ECサイトをモバイルフレンドリーにすることはSEO対策となるだけでなく、ECサイトを訪れたユーザーの離脱率を下げることにもつながります。
構造化データのマークアップ
構造化マークアップは、Googleのクローラーがテキストやコンテンツの内容を理解できるように記述する方法のことです。構造化マークアップがなされていない場合、テキストで株式会社ABCと表示していてもGoogleのクローラーは単なるテキストとしてしか認識しません。
しかし、構造化マークアップがされていれば、会社名が「株式会社ABC」として認識されます。これによりユーザーが関連性の高い情報を得ることができるようになりCTR向上につながります。
コアウェブバイタルの改善
コアウエブバイタルは検索順位を決める要素として2021年6月から組み込まれた評価指標のことです。ユーザーエクスペリエンス(UX)を改善することを目的に導入されるようになり、具体的にはLCP、FID、CLSという3つの指標があります。LCPは画像や動画が表示されるのにかかる時間、FIDは最初におこなう操作が速いかどうかという反応速度、CLSはページが視覚的に安定しているかどうかという指標です。
コアウエブバイタルの改善でおこなうべきことはユーザーがECサイトにアクセスした際にコンテンツが早く表示され、初回の操作を早くできるようにし、レイアウトのずれなど見た目で不安定になることがおこらないようにすることです。
オンライン上には、速度を計測してくれるPageSpeed Insightsを上手く使いながら改善するのがおすすめです。
クローラビリティの改善
検索エンジンの巡回プログラム「クローラー」のクローラビリティが悪いと、WEBサイトの情報がきちんと認識されないことがあります。そういったWEBサイトの情報が検索エンジンに正確に伝わっていない状態の場合、検索ユーザーにECサイトの情報が届かなかったり、SEO対策をおこなっても検索順位が上がらないということもあります。クローラビリティの改善策としては、XMLサイトマップの設置、クオリティの高いページの作成、URLをシンプルにする、重複しているページを無くす、内部リンクの最適化、被リンクの追加、ファイルサイズを小さくする、サーバーの最適化、404エラーを無くすなど出来ることが多数あります。
SSL化
以前、ECサイトでSSL化していたのは、個人情報やクレジットカード番号などの大切な情報をお客様が入力する画面のみでした。しかし、Googleが2014年に検索順位を決める要素の1つに常時SSL化の項目を加えました。これにより現在では多くのECサイトが注文画面以外のページでもSSL化に対応しています。ECサイトを運営する場合はSEO対策としてはもちろんですが、お客様の大切な情報を守るためにも必ず常時SSL化になっているか確認しておきましょう。
商品検索ページのSEO対策
ECサイトのSEO対策をする上で忘れてはならないのが、商品検索ページのSEO対策です。トップページやランディングページはどこのEC事業者も力を入れてSEO対策をおこなっていますが、意外と商品検索に関するページはSEO対策が全くされていなかったり、不十分だということがよくあります。ここでは、商品検索ページのSEO対策について見てみましょう。
重複ページの正規化
SEO対策において「1ページに1つの内容」、「1つのURLに1コンテンツ」という原則があります。この原則を守らなければマイナス評価やGoogleペナルティを課せられる可能性があります。
重複コンテンツがあるかどうかは、Googleサーチコンソールで確認することができます。重複コンテンツがある場合は、301リダイレクトの実施、内部リンクURLの統一、会社の紹介文など決まった形のものを使うことを避け、紹介ページへリンクするなどの対策があります。そのほかにも、canonicalタグの仕様や重複ページになりそうな類似コンテンツは1つのページにまとめるなどすると重複ページの正規化をおこなうことが出来ます。
カテゴリページの設計
ECサイトのSEOで特に気をつけて考えたいのがカテゴリページの設計です。カテゴリページの設計は、ECサイトが成功するかどうかを決めるといっても良いほど重要で、この設計によってはECサイトへの集客だけでなく売上を大幅にアップさせることも出来ます。カテゴリページにはキーワードに関する独自のテキストを追加することが大切です。さらにタイトルが重複してしまうとSEOでは不利になる可能性があるので、ページに見合ったオリジナルのタイトルを設定するようにしましょう。また、ECサイトの各ページにパンくずリストを設置する事で検索エンジンにカテゴリ情報を伝えやすくする効果があります。
商品詳細ページのSEO対策
ECサイトの中で、トップページやランディングページと同等に重要なのが商品詳細ページのSEO対策です。商品名や商品に関するキーワードで検索した場合は検索ページだけでなく、商品詳細ページから流入するケースも多いため、商品詳細ページのSEO対策は必須です。
具体的な商品詳細ページのSEO対策としては、商品説明文の見直しがあります。ECサイトで販売している商品が自社オリジナルのものではなく、メーカーの商品を扱っている場合、メーカーが用意している説明文をそのまま記載しているような事例が見受けられます。しかし、メーカーの用意した説明文をそのまま用いると同じ商品を扱っている他のサイトの文章と重複しコピーコンテンツと判断されペナルティを受ける危険性があります。また、同じ商品であってもECサイトによってターゲットが異なるので、ターゲットにあったオリジナルの商品説明文を載せることが重要です。さらに商品詳細ページのSEO対策として実際に使用したユーザーのレビューが表示される仕組みや商品ごとのFAQを掲載することも有効です。商品数が多いECサイトの場合は、すべての商品詳細ページへSEO対策を施すのに時間がかかるので、その場合は売れ筋商品や売りたい商品から優先して対策すると良いでしょう。
販売終了ページなどのリンク切れページ対策
在庫切れなどが理由で商品詳細ページ機能していない場合、クローラーが回遊させないために404ステータスを返しましょう。404ステータスを返すことでクローラーのリソースを他のページへ割り当てることが出来ます。
越境ECのSEO対策
越境ECの場合、日本とは言語や購買行動が違うため日本で通用するSEO対策の知識を持っていても対策が難しいことがあります。その為、言語に自信がない場合は、Buyee Connectのように日本国内のECサイトでそのまま越境ECをおこなえるサービスを利用するのがおすすめです。
ここでは、越境ECでグローバルSEOを考えるうえで、最低限、おこなうべきSEO対策をご紹介します。
言語別URL設計の見直し
日本でECサイトを多言語で展開する場合、.comや.netのような分野別トップレベルドメイン(gTLD)を用いてサブドメインやサブディレクトリで設計するケースがGoogleが推奨する多言語URL構成となります。ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)を使用している場合、商品販売を行っている国とccTLDが合っているか確認が必要です。アメリカで商品を販売しているが、ccTLDがjp(日本)となっているようなターゲット国とccTLDが矛盾している場合はSEO的に不利となる可能性が高くなってしまいます。
自分のサイトを海外進出させたいと考えた時、海外の人からちゃんと検索してもらいたい、かつ、見てもらいたいと考えますよね。 そのためには、もちろんサイトの言語を変更するということも重要ですが、「多言語に対応させたSEO対策」をすることがさらに[…]
翻訳精度の改善
商品情報などを機械翻訳を行っている場合は注意が必要です。Googleなどの検索エンジンは機械翻訳された文章がユーザーに理解できないような内容であった場合、ペナルティや順位低下を起こしてしまう可能性があります。機械翻訳を行ったコンテンツは可能な限りインデックスさせない、もしくは人の手で正確な翻訳文章に修正をしましょう。
「海外で自社コンテンツを売りたい」 「海外のSEO対策に適したキーワード選定の方法が知りたい」 海外で自社商品を広めるために、コンテンツの運営を検討される方は多いでしょう。 しかし海外SEO対策における効果的なキーワード選定は、は[…]
まとめ
今回は、ECサイトのSEO対策についてご紹介しました。最近のアルゴリズムの根底には、「ユーザーの為になるサイトを上位に表示する」というものがあるので、ECサイトのSEO対策を考える際には、テクニックとあわせて「ユーザーにとって見やすいECサイトになっているか」、「この情報は、ユーザーにとって有益か」といったことを常に念頭において考えるようにすると自然と上位表示されやすくなるでしょう。