【海外進出のためのブランディング】ブランド構築の手順と、日本と海外でのブランディングの違いを解説

海外進出のためのブランディングの必要性

ブランディングとは

「ブランド」とは、ユーザーが商品に対して持つ共通のイメージのことで、「ブランディング」とは、自社商品について顧客に共通のイメージを認識させることです。ブランディングを実施することで、市場の中での自社商品のポジションを確立することができ、商品の価値を潜在顧客に認識してもらうことで、顧客の獲得につながります。ブランディングは、シャネルやグッチといった高級ブランドに限った戦略ではなく、スーパーや薬局、小売など身近な場面においても実施されています。

ブランディングのメリット

ブランディングを行うと、ターゲット市場において、「○○といえば、あの商品」というイメージを顧客の中に根付かせることができます。例えば「熱が出たら”冷えピタ”」、「暖かいインナーなら”ヒートテック”」「結婚情報誌なら”ゼクシィ“」など、顧客の中に意識が浸透していれば多額の広告費や販促費を投入することなく顧客を獲得することができます。本来高額になりがちな広告宣伝費や販売促進費を削減することができれば、その分商品開発や顧客サービスへ資金を使用することができ、最終的には商品価値と顧客満足度を高めることにつながります。競合他社の間で自社のブランドをいち早く確立することができれば、ブランドの知名度と信頼感を強みに価格競争から離脱することもできます。

その他にも、ブランディングを行うことで人材採用や資金調達がしやすくなったり、企業が発信したい価値観の一貫性をアピールできたり、従業員のモチベーションが維持されるといったメリットも考えられます。継続的なブランディング活動によりブランドが構築できていると、顧客やステークホルダーは自社に対して信頼感・安心感を感じることができ、自社のブランドイメージやビジョンに共感する人材を採用しやすく、ブランド力が信用力となって資金調達がしやすくなります。また、ブランディングを行うことで自社の提供する価値やビジョンが社内にも共有され、従業員の間でも企業を通して社会へ価値を提供していることへの喜びや、誇り、充実感を感じてもらうことができ、モチベーションの維持に繋がります。

海外進出でもブランディングが必要な理由

日本国内の消費者に知名度があるブランドであっても、海外進出先では日本でのブランド力が通用しません。日本国内では商品名をいうだけで、商品の価値やメリットを理解することができても、知名度が0の状態では海外の人にはそれが伝わりません。したがって、一目でわかる、一言で説明できる自社商品の価値を現地のターゲット顧客に示すためにブランディング戦略は大切です。そして、海外進出先の消費者に自社商品の強みを伝え、現地で新規のファンを作っていく方法としてもブランディングは重要です。ブランディング戦略を考える過程で、自社商品の価値をどのように表現するのか、ターゲット顧客に提案していくのかを明確にします。

また、経営学者のフィリップ・コトラーが提唱する「マーケティング3.0」の概念の中では、商品の機能的価値を提案する「製品中心のマーケティング = マーケティング1.0」の発想よりも、現代においては商品の機能的価値に加えて感情的・精神的な価値を提案する「価値主導マーケティング = マーケティング3.0」の考え方が重視されるようになってきているとされています。これは、電化製品や車をはじめとした機能的な商品が溢れかえっていると同時に、様々な社会問題が深刻化している現代において、製品の機能面に加え、企業やその商品が「どのように世界をより良い場所にするのか」が重要視されるようになった背景があります。特に欧米市場においては、環境や社会を改善するメッセージ性を持った価値主導のブランディングができていないと、現地企業のシェアを奪うことは困難であり、ブランディング戦略なくしては参入が難しくなってきています。

海外進出のためのブランディング手順

1. ターゲット顧客を決める

はじめに、自社の外部環境と内部環境の調査・分析を通して、ターゲットとなるユーザーを決定します。環境分析には、3C分析やPEST分析、SWOT分析といったフレームワークを利用して、自社と競合他社の強み・弱み、競合との差別化ポイントを明らかにします。顧客をセグメント化してそれぞれのニーズを明らかにし、自社の強みが最も生かすことのできる顧客セグメントを明確にします。

2. ブランドアイデンティティを決める

ターゲット顧客が決まったら、「自社商品がターゲット顧客に提供する価値」と「ターゲット顧客に持ってもらいたい自社/自社商品のイメージ」を決めます。自社がどう見られたいかを言語化し、自社の価値を分かりやすく表現します。

ブランドが提供する価値は、ターゲット顧客がブランドを通じて感じる喜びの感情を指します。顧客が自社ブランドに愛着や思い入れを持ってもらえるように、喜び度合いが高まるような提供価値を設定します。ブランドが提供する喜びの価値には様々なものがあり、例えば品質や性能、使いやすさの「実利価値」、デザインやブランドイメージなどに共感する「感性価値」、使用実感や体験がポジティブな感情をもたらす「情緒価値」、自己表現や社会実現を通して自尊心が満たされる「共鳴価値」といったものが挙げられます。

ブランドが目指す価値、強みを明らかにし、自社商品によって顧客の人生がどう変わるのかが伝わるようなメッセージ性のある言葉を選んでいきます。ブランドコンセプトに沿ったキーワード候補をリストアップし、その中から最も端的にブランドの特徴が伝わるものを選びます。

ブランドアイデンティティとは、「自社ブランドを顧客からどう思ってもらいたいか」というイメージを明確に言葉で説明したもので、競合他社のブランドと差別化する役割があります。ブランド名を聞いた・見ただけで、顧客が自社商品に関する共通の具体的なイメージを持ってもらえるようにすることが理想です。

3. ブランドアイデンティティを可視化する

ブランドアイデンティティが決まったら、次にブランドをどう発信していくかを検討します。ブランドを発信するためには、ターゲットとする顧客が認識できるブランド名、キャッチコピー、写真、ロゴデザインといった視覚に訴えかけることのできる要素が必要です。ブランドアイデンティティーを言葉で表すブランド名とキャッチコピーをリストアップした上で、ブランドの世界観が的確に伝わるものを選びます。ブランド名はわかりやすく、かつユニークで好感の抱かれるものにしましょう。

ブランド名とキャッチコピーが決まったら、ロゴとブランドカラーを決定します。ブランドのロゴは様々な媒体、場所で使用されることを想定した、縮小拡大しても認識しやすいデザインを選び、またロゴ・ブランドカラーともに、自社ブランドがもつストーリーや価値観、メッセージやコンセプトが想像できる、ブランドアイデンティティに沿っており違和感のないものにしましょう。

4. ブランドアイデンティティを伝えるメディアの選定を行う

自社ブランドを伝えるためには、顧客との接点を持つ必要があります。その接点を、タッチポイントとよび、タッチポイントに一貫性がないと、顧客へのメッセージが正しく伝わらずにブランディングの失敗に繋がるケースもあります。タッチポイントの例として、TVやチラシ広告、雑誌、Webサイト、商品のパッケージ、展示会などが挙げられます。ターゲット顧客に対し、「独自のブランドらしさ」を正確に、魅力的に、繰り返し伝えることのできるタッチポイントを選ぶことが重要です。タッチポイントの種類によって、顧客が抱くブランドイメージは変わります。TVコマーシャルであれば大衆向けあるいはその時間帯・番組の視聴者層向けのイメージとなり、高級ブランド服の写真が並ぶ雑誌であれば同様に高級なものや高所得者層向けであるようなイメージ、経済雑誌であればサラリーマンや経営者向けのイメージであるなど、タッチポイントによってブランドイメージが左右されるため、一貫して繰り返しターゲット顧客にアピールのできるメディアや場所を選ぶことが大切です。

メディアの選定が終わったら、計画を立てた上で実際に自社ブランドを発信していきます。ある程度の期間発信を続けたら、アンケート調査を行い、ターゲット顧客に実際に届いているのか、目指すブランドイメージの通りに認識されているのかを調査することで、ブランディングの進捗状況を確認することができます。思うような効果が出ていない場合には、計画を見直した上でPDCAを回し、最も効果的なブランドの伝達方法を探します。

日本と海外でのブランディングの違い

マーケティング要素の強い日本のブランディング

日本人は日本語を話し、ほとんど同じ生活習慣や文化を持っていると言えます。そのため日本国内において顧客が求める価値や生活は似通っており、商品の価値が理解されやすく認識も得やすい状況です。海外に向けるような人種・宗教・言語の違いを超えるブランド作りの必要性がないため、自社そのものや「自社商品の価値を伝える・発信し共感してもらう」というブランディング活動よりも、「商品を、誰にどのように売るか」というマーケティング活動に重きを置きがちです。

ブランディングにより自社商品の価値へ共感してくれるファンを作って行かない限り、性能面や品質、価格の基準のみで自社商品が選ばれることとなり、他社商品の性能や価格が他社商品より劣ると判断された場合に、自社製品は買われなくなる可能性があります。その反面で、自社商品の価値観やメッセージに共感してくれるファンを持っていれば、性能や品質、価格に限らない購入を期待することができます。

海外進出に必要なグローバルブランディング

日本の製品やサービスは、高品質で高機能の優秀なものが多いですが、商品そのものの価値に依存しすぎており、製品の価値について「共通のイメージを持ってもらう」ためのブランディングは疎かになっているケースがあります。よい商品であるのにもかかわらず、顧客にその価値が伝わらない、認識されていないというのはもったいない状況ですし、海外市場ではどんなに自社の製品のほうが機能的・品質的に優れていても、他国企業のブランド力に負けてしまう可能性もあります。

グローバルにブランディングを行なっていく時には、大前提として国がそれぞれ全く異なるという認識が必要です。また、国の中でも多様な民族・宗教・言語が利用されている場合もあります。日本人は民族や生活習慣がほぼ同じであるのに対し、海外に目を向けると、同じ国の中でも複数の民族が存在し、宗教的なバックグラウンドや生活習慣が異なったり、日常的には異なる言語を使っているという国が存在します。例えば東南アジアのマレーシアには、マレー系、中華系、インド系といった複数の民族が存在し、宗教や日常会話で使う言語が異なるのにもかかわらず、皆同じマレーシア人として暮らしています。そうすると、例えば「マレーシア人」をターゲットとすると、ターゲットが多様なためブランドコンセプトが曖昧になってしまいがちです。

海外進出のブランディングには、ターゲットを国以下のレベルまで十分に細分化して現地化したブランディングを行なっていく、あるいは特定地域に限らずグローバルに展開したいのであれば、映像や画像などのクリエイティブ面を重視し、様々な文化・言語・宗教の壁を超える非言語的なブランディングを行なっていく必要があります。

まとめ

世界の人々は、機能性や品質といった商品そのものの価値以上に、その商品が自分の生活をどう変えるのか、どのような満足感を得ることができるのか、その商品を使うことで世界をよくすることができるのか、といった多様な側面から商品の価値を判断するようになってきました。高品質・高機能である「ジャパン・ブランド」は信用がありますが、それだけではグローバル市場で戦うことは困難になってきています。そこで、海外進出にあたって自社のブランディング戦略を見直し、自社商品の価値とメッセージを顧客の間で認識してもらえるような取り組みが今後重要になってくると言えます。

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