海外市場調査の基本は?費用相場など徹底解説

海外展開を検討している企業にとって、市場調査を十分に行うことは海外でのビジネスを成功させることにつながります。この記事では、なぜ市場調査をする必要があるのか、どんな方法があるのか、どのくらいの費用がかかるのかなどについて、具体的に説明します。

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海外進出で市場調査が必要な理由

国内外問わず、ビジネスを行う上で市場調査は必要不可欠なものです。海外進出をする際には、多額の費用を投入することになります。リスクを抑えて海外進出を成功させるためには、国内よりも徹底的な市場調査を行うことが重要です。まずは市場調査がどのようなものかを説明した上で、市場調査が必要な理由を解説します。

海外市場調査とは?

ビジネス戦略を立案するためには、まずは市場調査を行い顧客の動向やニーズを把握することが重要です。海外進出する際は、どのような商品やサービスをどんな方法や形式で販売・提供するか、価格はどのくらいにするか、プロモーションはどうやって行うかなど、あらかじめ決めなければいけない事項がたくさんあります。

こういったことを計画する際に活用されるのが、市場調査です。海外での市場調査は、海外市場調査または海外リサーチと呼ばれています。

日本国内は人口の減少や少子高齢化により、市場が縮小傾向にあります。しかし海外では若年層人口が増えており、パワーのある市場を持つ国が多く存在します。

そのため海外でのビジネス展開には、売上を向上させたり利益率を高めたりといったチャンスがまだまだあります。しかし、日本と海外ではビジネスを行う上での文化や習慣、価値観などが大きく異なるため、進出国や地域で成功するためには、多岐に渡る事前調査が必要なのです。

海外市場調査はなぜ必要なのか?

「ライバル企業よりも早く海外市場に参入し、まずはトライアンドエラーを繰り返してみよう」「すでに国内で成功しているから、同じようにやれば海外でも成功するだろう」などと甘く考えてしまう方も中にはいるかもしれません。

しかしどのような状況であっても、参入前に進出国・地域、業種、市場についての十分な調査は必要不可欠となります。

国内市場と同様、顧客ニーズやライバル企業などについてのマーケティング調査は重要です。しかし国内と大きく変わるのは、現地の法律や規則のほか、文化や歴史的な背景、色やデザインでイメージする感覚的な部分などについても調査する必要があるという点です。

また、海外進出の際は自社の力のみで進出することはまれで、パートナー企業との協力が必要なことがほとんどです。パートナー企業と取引会社との関係など、パートナー企業の能力や資金力を上手く見極められず、大きな損失を出したり撤退したりしなければならないケースもあります。

海外市場調査を行う上で大切なことは、主に下記3つとなります。

  • 仮説を立てた上で市場調査を行う
  • 市場調査で得た情報を読み解き、自社の商品・サービスと照らし合わせる
  • 仮説と結果を比較した上で、ビジネス戦略を練る

これらをきちんと実行することが、成功確率を上げることにつながります。海外では文化や習慣が異なり、国内では想像できないようなトラブルが発生する可能性があります。市場調査は、トラブル発生時に早急に対応するための方法を知るという意味でも大切です。

海外市場調査を行う際の6つの項目

海外進出のための市場調査で必要な項目は、大きく分けて6つになります。市場調査は実際に海外進出が可能なのか、どのように戦略を練るべきかなど、実用的なフレームワークを作成する上での重要な判断材料となります。

市場調査項目①:市場規模

進出を検討している国・地域について、「日本と比較した場合」「代理・類似カテゴリーと比較した場合」などについて把握しておくことで、市場規模やポジション、競争率を判断することができます。それにより、売上予測を立てることも可能になります。。

市場調査項目②:顧客ニーズ

進出先での顧客(ユーザー)のニーズを調査することは、販売方法や訴求方法を計画するために役に立ちます。日本と全く同じ商品やサービスを提供する場合でも、海外では文化や習慣が違うため、予想しているユーザー層やニーズと大きく異なる可能性があります。参入カテゴリーや類似品がどのように使われているか、どのようなニーズがあるのかについて分析します。

市場調査項目③:競合企業

進出国における競合企業の売上高や販売ネットワーク、生産体制、組織構成、取引先の状況などを把握することで、自社の立ち位置が分かります。また、競合企業が販売している商品ラインナップや販売方法を調査することは、自社の販売方法についての戦略を立てる際に役立ちます。

市場調査項目④:規制・法律・商慣習

国や地域によって、規制や法律、商慣習が大きく異なります。原材料や成分が規制対象になる場合も多く、ビジネス開始前の調査は非常に重要です。国全体の情報を把握した上で、例えばアメリカでは州別、中国であれば地域別というように、対象エリアを絞ってさらに詳しく調査しなければいけません。

市場調査項目⑤:パートナー企業

海外進出の際は、規制や法律に詳しい現地の弁護士、国際的な課税について詳しい現地の税理士、現地メーカーや物流会社、仕入先、取引先といったパートナーが必要になります。当然ながら進出先の国の企業だから安心というわけではなく、国際業務が可能で信頼のおけるビジネスパートナーと巡りあうことは、海外進出成功のための重要なポイントです。

市場調査項目:⑥自社の強みと弱み

商品やサービスについて、自社の強みとなる部分を再確認することで、海外展開でもそのノウハウを生かすことができるかもしれません。また「日本製品は安全・高品質」というイメージを持つ国であれば、それだけでさらなる付加価値となります。一方で、新商品開発力や営業力、決断スピードなどにおいての自社にとっての弱みはどこなのか、分析し可視化することで、経営戦略を練ったり失敗リスクを軽減したりすることにつながります。

海外市場調査を行うための4つの方法と7つの種類

海外進出における市場調査について、実際にどのように行ったらいいのか分からない人も多いでしょう。誰がどのように行うかについて、基本的な調査方法と種類を解説します。

海外市場調査方法について

方法①:自社で調査する

現地へ出向き自社で調査を行うという方法のメリットは、コストを安く抑えられる点です。自社の強みや弱み、方向性などを理解した上で調査すれば、現地の声をダイレクトにビジネス戦略へとつなげることが可能になります。しかし調査項目や方法を明確にしていないと、時間とコストを無駄にしてしまう場合もあります。

方法②:支援機関を利用する

海外進出を支援する公的な支援機関を利用する方法という方法があります。支援機関としては、ジェトロ(日本貿易振興機構)、中小企業基盤整備機構、商工会・商工会議所、政府系金融機関、地方自治体などがあります。市場調査や法制度・商習慣などの情報とあわせて、販売先・提携先の紹介やマーケティング支援なども行っているので、調査内容やコストなど、自社に合った機関を選択しましょう。

方法③:民間の調査会社を利用する

海外展開を支援する民間の調査会社を利用する方法です。国・地域、業界、専門性、調査方法、実績など調査会社によって強みは異なります。実績経験が多いというだけで調査会社を選ばず、進出先の文化や歴史についての深い知識や理解があるのかということも考慮しましょう。

国内外の調査会社、日本語・現地語での調査報告、調査手法、データ解析など、調査会社を選ぶポイントは多数あります。予算を考え、自社に合った調査会社に依頼することが大切です。

方法④:進出先の国・地域在住者に直接依頼する

進出する国・地域に住んでいる現地の人もしくは日本人に、情報収集や現地店舗や商品の写真撮影、アンケート実施をお願いする方法になります。現地に住んでいるため、調査が比較的容易になると言えるでしょう。またウェブで調査依頼や結果報告を行うことで、コストを大きく抑えることができます。

海外市場調査の種類について

種類①:インターネット調査

インターネット調査は「デスクリサーチ」とも呼ばれ、競合他社や現地のニーズ、市場動向などを日本にいながらインターネットだけで情報収集する方法になります。低コストかつ短時間で情報収集できるメリットがあります。

しかし、インターネットで調べた内容と本来調査したいユーザー層が大きく異なってしまう場合があったり、調査したデータが正確ではない可能性もあったりというリスクがあります。そのため他の調査方法と組み合わせ、複数のデータを比較し分析する必要があります。

種類②:アンケート調査

現地の消費者や対象企業などへ直接アンケートを行うという調査方法です。アンケート対象者に直接会ってアンケートを行う場合、調査項目以外にも、対象者のマインドや課題などについて生の声を詳しく知ることができるというメリットがあります。

その反面、多くのコストや時間がかかるということが欠点です。しかし最近ではウェブ上でのアンケート調査により、短時間かつ低コストでデータ集計ができるようになりました。アンケート調査の代表的な手法は、下記となります。

  • 街頭調査:街中の路上で調査対象者を見つけてアンケート用紙に回答を記載してもらう、または口頭で質問する方法
  • 訪問調査:調査対象者の企業や自宅などに訪問してアンケートを行う方法
  • 電話調査:調査対象者の企業や自宅などに電話を掛けてアンケートを行う方法
  • FAX調査:調査対象者の企業や自宅などにFAXを送信してアンケートを行う方法
  • 郵送調査:調査対象者の企業や自宅などへ郵送してアンケートを行う方法
  • インターネット調査:調査対象者にインターネット上でアンケートを行う方法

種類③:店頭調査

店頭調査は、小売業を行う業種向けのやり方になります。具体的には、調査員が現地の対象者が実際に行っている店舗で販売されている商品の価格や競合商品、代替商品などを調査するという方法です。現地価格を把握することで、輸出後の適切な販売価格などについて設定するための重要な情報を得ることができます。

種類④:体験モニター調査

体験モニター調査は「ホームユーステスト」とも呼ばれています。自社の商品やサービスを一定期間試してもらい、期間が終了したらインターネットや郵送などでアンケートを回収して感想などを調査する方法です。フィードバックでは生活習慣による使い方など、現地の人ならではの実際の声を聞くことができ、本格的に海外進出する前の準備に有用です。

種類⑤:インタビュー調査

紙やウェブなどでのアンケート調査と異なり、時間を要する場合が多いインタビュー調査。その分、細かな情報まで聞き込むことができるというメリットがあります。インタビュー調査には、主に下記4つの種類があります。

  • インデプスインタビュー:調査対象者に直接会って1対1でインタビューする方法
  • グループインタビュー:調査対象者に直接会って複数人のグループでインタビューする方法
  • チャットインタビュー:調査対象者にインターネット上でインタビューする方法
  • 簡易インタビュー:日本在住の外国人(進出を検討している国の出身者)を対象に、現地の生活習慣や価値観、嗜好、日本と現地の違い、色やデザイン好みなどについてインタビューする方法

種類⑥覆面調査

覆面調査は「ミステリーショッパー」とも呼ばれています。調査員が一般消費者を装い入店し、商品やサービスなどあらかじめ用意された調査項目をチェックする方法です。実店舗が一般的ですが、通販などのインターネットを利用した調査もあります。

方法⑦専門家にヒアリング

進出する市場や国・地域に詳しい専門家へヒアリングする調査方法になります。実際の成功体験や失敗事例のほか、海外進出の豊富な経験があるからこそ分かる市場の動きなどを学ぶことができます。

海外市場調査にかかる費用の相場

海外市場調査で依頼した際にかかる費用の目安は、下記の表をご参照ください。調査内容やサンプル数によって費用や調査期間は異なりますが、大体の目安としてご参考にしていただければ幸いです。

自社または調査会社に依頼する場合の両方において、移動費や滞在費などが発生するため、現地に在住している人に直接依頼したりインターネットで調査したりするのが、最もコストを抑える方法になります。一方で調査会社にまとめて依頼すれば、費用は数百万〜数千万円単位になる場合もありますが、本格的な情報を得ることが可能です。各種比較し、自社の状況に合った方法を採用することが大切になります。

調査資料がそろったとしても、収集された情報を読み解くための知識や分析力、時間がないと、その情報は無駄になってしまうということも頭に入れておいてください。多くの予算を市場調査に投入しても、自社が求める情報や結果にならない場合もあります。また調査結果によっては、海外進出できない可能性も出てくるかもしれません。

 

調査内容 概要 サンプル数 費用の目安 調査・納期期間
アンケート調査 街頭調査 100サンプル 50万円~ 1ヵ月程度
アンケート調査 訪問調査 100サンプル
1,000サンプル
200万円~
500万円~
2ヵ月程度
アンケート調査 電話調査 100サンプル 50万円~ 1ヵ月程度
アンケート調査 郵送調査 100サンプル
500サンプル
50万円~
100万円~
2ヵ月程度
アンケート調査 インターネット調査 500サンプル
5,000サンプル
5万円~
20万円~
3日程度
体験モニター調査 ホームユーステスト 100サンプル 150万円~ 2ヵ月程度
インタビュー調査 インデプスインタビュー(1対1) 5名 40万円~ 1ヵ月程度
インタビュー調査 グループインタビュー(複数人) 1グループ 20万円~ 1ヵ月程度
覆面調査 ミステリーショッパー 30サンプル 50万円~ 2ヵ月程度
店頭調査 現地店舗・商品の写真や簡単なアンケート 1商品 3万円~ 1週間程度
パッケージA 複数の調査方法で、簡易的に情報を収集する 1か国 100万円~ 2ヵ月程度
パッケージB 複数の調査方法で、規則・法律まで本格的に情報を収集する 1か国 300万円~ 2ヵ月程度
パッケージC 複数の調査方法で、規則・法律まで本格的に情報を収集する 4カ国 1,000万円~ 6ヵ月程度
パッケージD 複数の調査方法で、規則・法律まで本格的に情報を収集する 10カ国 2,500万円~ 8ヵ月程度

まとめ

この記事では、海外展開を検討している企業向けに「市場調査の基本」について解説しました。市場調査には多くのコストと時間が発生しますが、海外で展開していけるのか否かを判断し、売上・利益をどれほど確保できるかについてもある程度予測することが可能になります。

そのためには正しい情報を集めること、収集した情報を分析すること、ビジネス戦略に上手く役立てること、の3つが重要です。どれか1つでも欠けた場合、せっかくコストと時間をかけた市場調査が無駄になってしまいます。

予算の都合上、いきなり大きな投資をするのは不安というような悩みを持っている方は、小規模から始められるオンラインショップ(Eコマース)などスモールビジネスから海外展開を始めるのがおすすめです。

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