自分のサイトを海外進出させたいと考えた時、海外の人からちゃんと検索してもらいたい、かつ、見てもらいたいと考えますよね。
そのためには、もちろんサイトの言語を変更するということも重要ですが、「多言語に対応させたSEO対策」をすることがさらに重要です。
今回は、現時点での多言語に対応したSEO対策について、初めての場合はつまづきがちである基礎的な部分を包括的に調査しました。
本記事では、多言語SEOの定義だけではなく、多言語SEOを実際に設計する方法や注意点についてを詳しく紹介します。
現在使われている多言語SEOについての基礎を理解し、実際に設計・実装できるようにしましょう。
多言語SEOとは?
多言語SEOという言葉を分解すると以下の通りです。
- 多言語=複数の言語(日本語、英語、中国語、など)
- SEO=Search Engine Optimizationの省略形。検索エンジン最適化やその対策方法。
つまり、多言語SEOは「複数言語に対応した検索エンジン最適化、その対策」のことを示します。
通常のSEOは、検索しているユーザーに良質なコンテンツ・体験を提供することにより、Google等の検索エンジンから評価を受けるための対策をしていきますが、それをさらに海外向けに複数の言語で行っていくということです。実際には、海外向けのSEO対策は、言語だけを変えればいいというわけではありませんが、大まかには言語ごとに対応させていきます。
多言語SEOが重要である理由
多言語SEOは、海外向けのサイトを構築・運営する際に、検索結果に反映されるための最も重要な対策として機能します。検索エンジンは、単純にサイト内に有用な情報があるということだけではなく、言語・国など様々な要素を考慮して、サイトを検索結果に表示しているからです。例えば、「言語だけ変えたページを作るだけ」「日本向けのSEO対策をするだけ」では、海外から特定のキーワードで検索されても、中々表示されにくく、サイトを見つけてもらうのが難しくなります。さらに、国によっては、そもそもメインの検索エンジンがGoogleではない場合も多く、全ての国で同じ対策が通用するわけではありません。
海外向けにサイトを作製していくときには、様々な面から多言語SEOを対策した設計をしていくことが必要です。
多言語SEOの設計ポイント4つ
多言語に対応したSEOは、普段日本国内向けに対策しているSEOとは異なる部分があります。そもそもの言語の違いだけではなく、海外と日本でユーザーから人気なコンテンツや有用と考えられる情報が異なるからです。今回は、国・言語別に異なる環境にも対応できるような多言語SEOの設計ポイントを4つ紹介します。
1:言語ごとのタグ設定
「多言語SEOとは」でも話したように、海外向けのSEO対策は、言語だけを変えたページを作ればいいというわけではなく、言語ごとのタグ(言語アノテーションタグ、hreflang)を設定する必要があります。hreflangとは、コンテンツがどの国や地域のユーザ向けなのかをgoogleに伝えるためのものです。このhreflangを設定する理由は、Googleから重複したコンテンツと判断されないようにするためです。そもそも、Googleはユーザーの利便性のためには、同じ内容のサイトが乱立することを嫌い、ユニークでオリジナルなサイトを重視します。英語と日本語で同じ内容のページを作った時に、検索してきた人が「翻訳をした場合」に、同じ内容と判断されてしまうと、評価は上がりません。さらに、このhreflangの設定がされていないと、日本語で検索された時に、日本語バージョンのサイトが表示されてしまう、逆も叱り、などが起こる原因にもなります。このように、言語ごとにページを作るときには、hreflangを設定することが重要なので、以下で実際に設定を実装してみましょう。
- 言語別でページを作製します。
- hreflangを各ページに設定します。このときのhreflangの記述方法は、以下3通りになります。
・Headタグ内にリンクとして記載
・HTTPヘッダーに記載
・XMLサイトマップに記載
そして、一番簡単にできる「Headタグ内にリンクとして記載する方法」を解説します。
ページのヘッダーに 要素を追加して、ページの言語や地域ごとのすべてのバージョンを Google に提示します。
Google検索セントラルより
“lang_code”と書いてある部分に、言語のコード(日本ならja、韓国語ならkoなど)を入れ、…と書いてある部分に各ページのURLを入れます。
さらに、必要に応じて地域コードの設定を行うと、より親切です。
この方法は、Googleが推奨している設定方法であるため、適切な言語のバージョンにアクセスできるようになります。
別言語のページを作製していればGoogleが検出することもありますが、このように地域・言語ごとに明示してあると正確です。
2:国・地域ごとのURL
ここで、WebページのURLについてですが、http://***.jpといったURLに含まれる「.jp」のような国別に定められた2文字のことを、国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)と呼びます。
多言語ページは、ccTLDからも設定することが可能であり、ccTLDを利用して各国のサイトを作り、多言語ページを管理する場合には、さきほどのhreflangのような言語アノテーションの設定の必要はありません。
このドメイン設定により、GoogleからはURLを見ただけでも、そのサイトが国や地域のコンテンツであるかを判断できるからです。ここではもちろん、Webページ内の言語とも整合性をとっておくことが必要になりますが、ccTLDで多言語ページをそれぞれ作っていれば、hreflangの設定の必要は無く、SEO対策にもなります。しかし、ccTLDは高価だったり取得が難しい場合もあります。そこで、よく使用されるのが「.com(商用)」、「.edu(教育用)」といった地域性をもたないジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)です。このドメインを含んだURLでは、ユーザーから国・言語などの判断がつかないことから、SEOにあまり影響しないといわれています。もし、gTLDのドメインを使用して国や地域の設定をしたい場合は、サブドメインを使用して多言語ページをそれぞれ作成し、hreflangの設定を行いましょう。さらに、Google Search Consoleのインターナショナルターゲティングレポートの設定を行うことで、Googleに多言語ページの存在を知らせることが出来ます。Google Search Consoleのインターナショナルターゲティングレポートの設定方法では、現時点でSEOに影響はないとされていますが、ユーザーの利便性のためにも設定することがおすすめです。
3:サーバー
海外のSEOでは、サイトが所属するサーバーも評価の対象となっており、特に検索するユーザーから物理的に近い場所のサーバーを利用すると評価は上がります。ページの表示速度が速いほど、ユーザーの利便性があると判断されるため、当該地域で使用されるサーバーでサイトを設計することがおすすめです。例えば、サーバー選択の違いでも、検索エンジンに登録される速さや、検索順位にも影響が出てきます。クラウドコンピューティングサービスであるAWS(Amazon Web Service)などを利用して、サイト構築をしましょう。AWSは、世界各国25のリージョン・80ものデータセンターを持ち、アカウント開設後はすぐに世界中に展開していくことができます。物理的にターゲットとなるユーザーから近くのサーバーを使用することで、サイトの表示スピードの向上を目指し利用してもらいやすくしましょう。
4:キーワード設定
キーワード設定は、どのようなキーワードが人気かを調べます。
Keyword Tool、Uber suggestなどのツールを使用すれば、国・言語別で探していくことが可能です。
特に見ておくべきポイントは以下3つになります。
- 検索ボリュームがどれくらいなのか
- 関連して検索されるのはどんな言葉か
- 競合サイトを分析した上で、ユーザーが求めている情報は何なのか
ここで考える必要があるのが、海外向けのキーワード設定は、日本での設定方法とは異なっている点です。原因としては、日本語の中には和製英語も多く含まれていたり、単純に日本語の翻訳では意味が異なる言葉が含まれたりすることがあげられます。たとえば、「flavor」という言葉は、日本では「香り」の意味で使うことが多いですが、海外では「味」を意味する「taste」と同様の意味で使われているので、このまま訳すと意味が通じません。さらに、ターゲットキーワードと関連して組み合わせる言葉も、国や地域ごとに需要があるコンテンツがことなるために変化します。このような違いは自分で知っていくしかないので、3.で競合サイトを分析していく時などに、適切な言い回しを知っていきながら検討すべきです。
多言語SEOの注意点
多言語SEOを設計していく方法は説明しましたが、実際に多言語SEOを行っていくときに注意しておくべき点について解説します。
翻訳は、機械やプラグインで行わない
Webページの内容は意味の通る文章にする必要があります。翻訳サイト(Google翻訳含む)などの機械、プラグインで翻訳してしまうと、単調かつ意味が通らない文章になってしまうことが多々ありますよね。
意味が通らない=ユーザーからの検索意図と異なる、と判断されてしまいます。そのため、不自然ではないかどうか、意味が通るかどうかなど、念入りな確認が必要です。
自分で確認するだけではなく、当該言語に詳しい人(できればプロの人)からチェックしてもらい、機械での翻訳を行わないことをおすすめします。
言語だけでなく、地域性を意識する
場合によっては、言語だけではなく、内容もターゲットの地域の文化に寄せる必要があります。例えば、外食関係のサイトを作っていく場合、国籍(宗教)上の理由で肉を食べられない人をターゲットにしているのに、肉を使用した料理を載せてしまうと、ターゲットの利用目的とは外れてしまうために、検索結果に表示されにくくなることが考えられます。あくまでも、そのページのターゲットから見て役立つ内容であることが必要です。
外部リンクは無理に受けない
海外向けのSEOでも、日本向けのSEOと同様に、外部リンク(被リンクとも言います)が大いに影響してくる状況です。特に、自然な被リンクは質が高いドメインだと検索エンジンは判断するため、その数が多ければSEOにも良い影響が現れてくると考えられます。一方で、リンクの売買(スパムリンクとも言います)のような被リンク対策を行ってしまうと、検索エンジンからも求められていないうえに、ペナルティとなるためおすすめしません。このことからも、「無理に外部からリンクを受ける」ことは控えた方が無難です。しかし、被リンクは受けれるのであれば、受けていきたいですよね。
すぐに出来る対策として、以下3つの方法があります。
- コンテンツの質を高める
- サイト内にシェアボタンを設置する
- 露出(SNS等)を増やす
これらの対策を行うことによって、自然といいサイトだと思ってもらえたから被リンクを受けられる、といった流れを構築していくことがおすすめです。
多言語SEOの注意点
多言語SEOを設計していく方法は説明しましたが、実際に多言語SEOを行っていくときに注意しておくべき点について解説します。
翻訳は、機械やプラグインで行わない
Webページの内容は意味の通る文章にする必要があります。翻訳サイト(Google翻訳含む)などの機械、プラグインで翻訳してしまうと、単調かつ意味が通らない文章になってしまうことが多々ありますよね。
意味が通らない=ユーザーからの検索意図と異なる、と判断されてしまいます。そのため、不自然ではないかどうか、意味が通るかどうかなど、念入りな確認が必要です。自分で確認するだけではなく、当該言語に詳しい人(できればプロの人)からチェックしてもらい、機械での翻訳を行わないことをおすすめします。
言語だけでなく、地域性を意識する
場合によっては、言語だけではなく、内容もターゲットの地域の文化に寄せる必要があります。例えば、外食関係のサイトを作っていく場合、国籍(宗教)上の理由で肉を食べられない人をターゲットにしているのに、肉を使用した料理を載せてしまうと、ターゲットの利用目的とは外れてしまうために、検索結果に表示されにくくなることが考えられます。あくまでも、そのページのターゲットから見て役立つ内容であることが必要です。
外部リンクは無理に受けない
海外向けのSEOでも、日本向けのSEOと同様に、外部リンク(被リンクとも言います)が大いに影響してくる状況です。特に、自然な被リンクは質が高いドメインだと検索エンジンは判断するため、その数が多ければSEOにも良い影響が現れてくると考えられます。一方で、リンクの売買(スパムリンクとも言います)のような被リンク対策を行ってしまうと、検索エンジンからも求められていないうえに、ペナルティとなるためおすすめしません。このことからも、「無理に外部からリンクを受ける」ことは控えた方が無難です。しかし、被リンクは受けれるのであれば、受けていきたいですよね。
すぐに出来る対策として、以下3つの方法があります。
- コンテンツの質を高める
- サイト内にシェアボタンを設置する
- 露出(SNS等)を増やす
これらの対策を行うことによって、自然といいサイトだと思ってもらえたから被リンクを受けられる、といった流れを構築していくことがおすすめです。
多言語SEO設計時によくある疑問と解決策
これまでにSEOの設計方法や注意点について紹介してきました。
その中でもありがちな疑問とその解決策を2つ紹介します。
言語が英語で同じでも、国別のページを作るべきか
国別のページは、言語がたとえ同じページであっても、hreflangを利用しつつ作るべきです。 ページを分けて作ることにより、「対象国でのページ ランキングは向上する」とGoogleにも記載されています。その時には、同じ内容のコンテンツだと、Googleからは重複しているとみなされ、クロールする頻度が減ってしまう可能性が大きいです。そのため、あらかじめ優先するバージョンを決めておき、全ての重複するページに対してrel=”canonical”要素を追加し、ページごとに任意のhreflangタグをheadに追加します。
ref=”canonical”要素については、以下のように記載します。
すでに日本のサーバーでサイトを持っているが、対象国のサーバーにしなければならないのか
基本的に対象国のサーバーを使用すべきです。「多言語SEOの設計ポイント4つ」の「3:サーバー」で示した通り、サーバーまでの距離が長くなると、レスポンス速度が低下します。レスポンス速度が低下することは、利便性の低下につながるため、SEO的に悪い影響を及ぼす可能性が大きいです。例えば、既に日本向けのサイトをXserverで構築している場合、日本からのアクセスは問題ありませんが、その中で海外向けのサイトを公開した場合には、海外から日本のサーバーまで物理的に距離があるために、反応が少し遅くなる傾向です。このことからも、少々手間はかかりますが、海外向けのページを作る時には対象国のサーバーを使用し、ページ表示速度をなるべく早い状態にしておくことをお勧めします。
まとめ
この記事では、多言語SEOの重要性からサイト設計方法までを紹介してきました。
- 多言語SEOは、「多言語に対応した検索エンジン最適化、その対策」を示します
- 多言語SEOが重要である理由は、検索エンジンが国・言語など様々な要素を考慮して、サイトを表示しているからです
- 多言語SEOの設計時には、言語ごと、国・地域ごとにタグやドメインを設定し、サーバーを対象国に設定したうえで、ターゲットに対して適切なキーワード設定を行います
さらに、2021年6月以降、Core Web Vitalsを含むページエクスペリエンスをランキングに反映していくということが、発表されました。ページエクスペリエンスとは、検索した時の情報そのものの価値以外に関するシグナル(指標)のことで、既存のシグナルとしては、モバイルフレンドリー、セーフブラウジング、HTTPS対応、インタースティシャルが含まれます。これまでは、ページエクスペリエンスに関する情報はランキングにあまり影響しないとされていましたが、2021年6月から8月ごろにかけて徐々に試験的に反映していくようです。さらに既存のシグナルに加えて、Core Web Vitalsという、ページの表示速度を測る「LCP」、インタラクティブ性や反応速度を測る「FID」、視覚要素の安定性を測る「CLS」も判断の一部として加わります。まだこちらは猶予期間がありますが、将来的にSEOに良い影響となると考えられるため、1点ずつ見直していくことがおすすめです。
多言語SEOは、海外でもサイトにアクセスしてもらうためには必要不可欠な対策であること、さらにドメイン・サーバーだけでなく、コンテンツの内容も重要になるため、念入りな調査をしていく必要があります。色々やらなければならないことが多くあるため、始めは大変かもしれませんが、海外でもユーザーファーストなサイト設計が好まれるため、ひとつひとつ積み重ねていきましょう。