ECサイトは2024年から「IT導入補助金」適用外?使える補助金について解説!

ECサイト構築を検討される際、資金調達のために補助金を検討される担当者の方は多いのではないでしょうか。ECサイト構築には多大な費用がかかるため、補助金をあてにする場合がほとんどかと思います。中でも、「IT導入補助金が有力」との情報から、申請を検討している方もいるのではないでしょうか。一方で、「2024年からはIT導入補助金が使えない」という噂もあり、真実を知りたがっていることでしょう。

この記事では、ECサイトで使える補助金の中でもIT導入補助金に関する最新情報と、その他の補助金について説明します。

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【結論】2024年からは、ECサイトはIT導入補助金の適用外!

2024年の「IT導入補助金」において、これまでECサイトで利用可能だった補助金が適用外となるかどうか確認した結果、「適用外」ということがわかりました

その根拠として、公式サイトにて「ECサイトは対象外とする」という明確なお知らせがあったことです。また、「通常枠」に関するものであっても、「ECサイト」は明確に「対象外」とされているため、「IT導入補助金2024」からはECサイトが対象外となっています。なお、ホームページ制作に関しても、既にIT導入補助金2023の時点で対象外であったことに注意が必要です。

ECサイト構築のためにIT導入補助金をあてにしていた企業にとっては、衝撃的な内容かと思いますが、改正内容や他にも申請できる補助金を紹介しているので、ぜひ最後まで記事を読んで効率よく資金の工面を検討しましょう。

ECサイトにおける補助金の必要性

IT導入補助金が2024年からは、ECサイトにおいて適用外とされてしまいます。ここからは、そもそも補助金はECサイトにおいて、なぜ必要であるのかについて解説します。

ECサイト構築には費用がかかる

ECサイトを構築するには、費用はサイトの規模や機能、デザインによって大きく異なります。一般的に、小規模サイトは100万円以下、中規模サイトは100〜500万円程度が目安ですが、実際の相場はサイトの種類や機能によって変動します。

制作費用には、デザインや機能の実装、システムの開発などが含まれ、規模が拡大すれば数百万円にも上ります。従って、ECサイトを構築する際には、望むサイトの規模や機能を考慮し、制作にかかる費用感を事前に把握することが不可欠です。

資金に余裕があれば理想的なサイト構築ができるかもしれませんが、費用が限られていると機能を制限する必要があり、目標が実現しないことがでてくるかもしれません。また、規模が拡大すればそれに応じた資金が必要なため、戦略・計画をしっかりと検討することが必要です。

補助金を活用することで、経営に集中できる

補助金をECサイトで活用するメリットは、開業および運営のコストを削減できる点にあります。ECサイトは実店舗の賃貸料が発生しないため、その分の支出が抑えられます。ただし、開業時には機器購入やネットショップの制作、広告費、営業許可などの初期投資がかかり、競争激化による集客の難しさも考えられます。

補助金はこのような課題に対処するため、返済不要の資金提供があります。これにより、銀行融資と比較して少ない売上からの返済負担が軽減され、経営に集中できます。また、補助金の種類が多く、ECサイトに適用しやすい傾向があります。補助金は経済活性化や事業支援を目的としており、その柔軟性がECサイト運営に適しています。したがって、補助金を活用することで、事業の立ち上げや拡大における財政的なハードルを軽減できるでしょう。

IT導入補助金2024の改正内容

IT導入補助金2024では、支援枠の改編が行われ、通常枠、セキュリティ対策推進枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、複数社連携IT導入枠の4つの支援枠に変更されました。補助率も、インボイス枠(インボイス対応類型)では小規模事業者に対する補助率が一部「4/5」へ拡大されています。

補助対象ITツールにおいては、インボイス枠(インボイス対応類型)では「会計」「受発注」「決済」機能を有するソフトウェアが対象とされています。ただし、注目すべき点は、「ECサイト制作は本類型の対象にはなりません」という明確な記載です。つまり、IT導入補助金2024の対象となるソフトウェアは、インボイス制度に対応した機能に絞られており、ECサイト制作は補助の対象外となっています。

この改正内容によって、これまでECサイトで使えていたIT導入補助金は2024年から適用できなくなっています。これまでIT導入補助金をつかって資金の工面をしていた企業や、これから申請を検討している企業は注意が必要です。

「IT導入補助金」以外でECサイトに使える補助金

IT導入補助金が適用外とされても、他にも申請すれば補助金を得られるものがいくつかあります。ここからは、IT導入補助金の申請を検討している人が他にも申請できる補助金について解説します。

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルス感染症の影響で売上回復が見込めない中小企業を支援する補助金です。この補助金は、変化の波に乗って新しい事業展開に挑戦する企業をサポートします。

補助金の「成長枠」は、大胆な事業再構築に取り組む企業が対象であり、最大7,000万円の支援が提供されます。企業が積極的に未来の展望に基づいて事業を再構築し、成果を上げることを期待しています。支援対象は、様々なニーズや市場の変動に適応する柔軟性を持つ企業です。具体的には、以下のように従業員数によって補助金額が決められています。

  • 20人以下:100万〜2,000万円
  • 21〜50人:100万〜4,000万円
  • 51〜100人:100万〜5,000万円
  • 101人以上:100万円〜7,000万円

補助金の活用範囲は広く、建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、広告宣伝・販売促進費などが対象です。補助率は企業の規模により異なり、中小企業者等は補助率1/2、中堅企業等は補助率1/3となります。

申請には事業計画書や確認書、決算書、労働者名簿などが必要であり、成長枠の場合は市場拡大要件の説明書や賃金引上げ計画の誓約書も必要です。申請手順は説明会への参加、電子申請から始まり、応募締切は2023年6月30日(金)18:00です。申請前にはgBizIDプライムのアカウント取得が必要です。詳細なスケジュールは公式サイトにて確認できます。

参考:事業再構築補助金 スケジュール  

参考:事業再構築補助金 必須申請要件   

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、新たな取り組みを行うための支援を提供する補助金で、「通常枠」の他に「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」の特別枠があります。特に「通常枠」では、商工会や商工会議所の支援を得ながら、経営計画に基づいて積極的に販路開拓などに取り組む機会を提供しています。これにより、事業者は持続的な経営を追求し、成長戦略を展開できます。

対象者は小規模事業者で、法人や商工業者の個人事業主、特定非営利活動法人(一定の条件を満たすもの)が含まれます。従業員数にも制限があり、補助対象経費には様々な項目が含まれます。法人の場合は、資本金か出資金が5億円以上、かつ100%の株式を直接・間接的に保有されていない(すなわち、完全子会社)ことが条件となっています。

補助金の「通常枠」では最大50万円の補助金が支給され、ウェブサイト関連費用も補助の対象となります。ただし、ウェブサイト関連費用の補助は補助金総額の1/4が上限です。

申請手続きは電子申請または郵送で行い、商工会・商工会議所地区ごとに異なる申請先が存在します。採択後は補助事業が開始され、最終的に事業効果報告が行われます。申請スケジュールは公式サイトで随時確認でき、最新の情報を得ることができます。例えば、第12回の場合、申請受付締切日が2023年6月1日で、事業実施期間は2024年4月30日までとなっています。最新のスケジュールは公式サイトを参照してください。

参考: 小規模事業者持続化補助金 ガイドブック

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、働き方改革などに即した経営開発を促進するための支援策で、「通常枠」を含む「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」など、多彩な枠が設けられています。これにより、異なるニーズや経営課題に対応し、事業者が必要な支援を受けることができます。生産性向上や事業の発展を図り、変革の一環として補助金を活用することが期待されます。

「通常枠」では最大1,250万円が支給され、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、知的財産権等関連経費に補助が適用され、補助率は1/2。小規模企業者・小規模事業者・再生事業者には2/3が適用されます。従業員数に応じた補助額は5人以下が100万円〜750万円、6〜20人が100万円〜1,000万円、21人以上が100万円〜1,250万円です。

ECサイト構築においては、「クラウドサービス利用費」が補助対象で、「グローバル市場開拓枠」では「広告宣伝・販売促進費」もサポート対象となります。これにより、国内外での市場開拓やブランド拡充を支援されます。

補助金の申請手続きは電子申請で行い、「gBizIDプライム」アカウントの取得が必要です。採択後は交付通知があり、交付申請、補助事業の実施と実績報告、確定検査を経て、補助金の請求・支払いが行われます。進捗状況や知的財産権等の報告も求められます。最新のスケジュールは公式サイトで確認できます。

参考:ものづくり補助金総合サイト スケジュール

各自治体の補助金

全国の自治体が提供するIT補助金(自治体IT補助金)も、ECサイトで注目すべき補助金です。例えば、千葉市では「ICT活用生産性向上支援事業」が用意されており、中小企業がICT導入を通じて働き方改革や生産性向上、企業価値の向上を目指す場合、最大300万円の補助金が支援されます。この補助金も業務効率化を促進する趣旨を持ちつつ、ICTを活用した大規模な業務効率化や事業転換を目的とした特別な枠も設けられています。審査では、しっかりと業務転換や変革を目指すECサイトの導入計画を説明すれば、採択される可能性が高まります。

また、東京都中央区ではECサイトの構築に特化した「ECサイト活用補助金」を提供しています。金額は上限6万円と少額ですが、楽天などのモール型ECサイトへの初期登録費用も対象になり、個人店舗経営者にとっては手軽に利用できる補助金です。

このように、各自治体でもECサイト構築で活用できる補助金が用意されていることがあるため、まずは事業拠点を置く自治体のホームページを確認してみましょう。

まとめ

ECサイト構築には、初期費用や運用費などで多額の費用がかかります。IT導入補助金は2024年からECサイトにおいては適用外となってしまいますが、他にも申請できる補助金はさまざまあるためチェックしましょう。

なお、補助金を受け取るためには申請に必要な書類の作成や審査の期間が必要なため、事前に準備しておくことが重要です。これからサイト構築・運用の資金調達のために補助金を検討されている人は、それぞれの補助金の要件や金額を把握し、申請に向けて準備をすすめましょう。

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