EC販売の成果をあげようと、戦略を考えている人は多いのではないでしょうか?しかし、具体的にどのような戦略があるか理解できている人はそれほど多くないように思います。
この記事では、EC販売において成功する主要な7つの戦略について解説します。さらに、マーケティングの基本や戦略の考え方についても説明します。これから具体的な戦略を検討して施策する方は、ぜひ参考にしてください。
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EC販売で成功する戦略7選
EC販売で成功するための戦略として、以下の7つが挙げられます。
- 複数モール展開
- オムニチャネル戦略
- 越境EC
- アプリ活用
- SEOコンテンツマーケティング
- オートメーション施策
- SNS活用
まずは、これらについて解説します。
複数モール展開
売上最大化の戦略の一環として、複数のオンライン販売プラットフォームを利用する方法があります。これは、顧客との接点を増やし、多様なチャネルを通じて商品を提供することで、売上を伸ばすことを狙ったものです。
ECサイトには、他社のモールに出店する方法と、自社のECサイトを立ち上げる方法があります。それぞれに利点と欠点があり、また、異なるターゲット層が存在します。
国内では、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどがトップのモールとして挙げられます。これらのプラットフォームは高い認知度を持ち、ユーザーが直接商品を検索することも多いです。
この戦略では、モールに出店して知名度を上げ、新規顧客を獲得し、同時に自社ECサイトではブランディングを重視してファンを増やすことができます。
ただし、複数のモールへの出店にはコストや労力がかかりますので、事前にリソースを確保することが重要です。
オムニチャネル戦略
オムニチャネル戦略は、近年、売上最大化を目指す企業にとって主流の施策となっています。これは、顧客に対して複数の販売チャネル(店舗、オンラインショップ、SNSなど)を通じてシームレスなショッピング体験を提供する戦略です。
たとえば、オンラインで注文した商品を実店舗で受け取れるようにしたり、店頭にない商品もオンラインで購入できるようにしたりすることが挙げられます。
このような取り組みにより、顧客満足度を向上させ、忠誠度の高いリピーターを増やすことが目指されます。
しかし、オムニチャネル化には在庫管理や物流などの基盤を整える必要があります。そのため、企業全体での取り組みが求められます。
また、オムニチャネル化にはECサイトの売上比率が増え、実店舗が影響を受ける可能性もありますが、成功すれば顧客に継続的な印象を与え、ファンを増やすことができます。そのため、リアルとネットの相互送客を重視することが重要です。
越境EC
近年、世界的に盛んになっている越境ECは、日本企業にとっても注目の的です。国外に進出するリアル店舗よりも、低リスクで低コストな方法で海外の顧客に商品やサービスを提供できるのが大きなメリットです。また、実店舗があれば、インバウンド客を呼び込むことも可能です。
日本の越境ECの主な相手国は中国とアメリカで、取引額は年々増加しています。越境ECを始める際には、ターゲットとする国の顧客にリーチするため、その国で強い影響力を持つモールに出店することが重要です。
例えば、中国では「天猫(T-mall)」や「京東(ジンドン)」のような大手モールが有力です。出店にはコストがかかりますが、多くの顧客を集めることができます。
また、リスクを最小限に抑えて越境ECを始めたい場合は、「転送コム」を利用する方法もあります。
アプリ活用
顧客の獲得と囲い込みを目指す際に、公式アプリの展開は非常に有効な手段となっています。スマートフォンの普及に伴い、アプリを通じて来店クーポンの配布や目に留まりやすいプッシュ通知の送信など、効果的なマーケティングが可能です。
ただし、アプリの開発には相応の資金とノウハウが必要です。これは、複数のモール展開やオムニチャネル戦略と同様に、ハイコストでありながらも高いリターンが期待できる施策の一環と言えます。
SEOコンテンツマーケティング
SEOを意識したコンテンツマーケティングは、自社のウェブサイトを検索結果で上位に表示させるための重要な施策です。SEOの成功には、顧客に価値のあるコンテンツを提供することが欠かせません。これがコンテンツマーケティングの要点です。
この施策は、他の方法に比べてシステム開発などの大きなコストはかかりませんが、効果を実感するまでには労力と時間が必要です。
オートメーション施策
マーケティングオートメーションは、WEBマーケティングの一部を自動化する手法です。例えば、顧客の行動履歴に応じてメルマガやプッシュ通知の内容を個別に変えることができます。
この施策を導入することで、業務の効率化が図られるだけでなく、顧客により適した施策を実施することが可能となります。ただし、マーケティングオートメーションを導入したからと言って、すぐに売上が上がるわけではありません。効果が現れるまでには時間がかかることを覚えておきましょう。
SNS活用
SNSを駆使したソーシャル施策は、LINE、Instagram、Twitter、Facebookなどのプラットフォームを活用するマーケティング手法です。これらのSNSは直接的な利益には直結しませんが、顧客とのコミュニケーションを深める重要な機会を提供します。
ソーシャルメディアは情報の拡散性が高いため、知名度向上の施策を実行しやすく、また、顧客自身が商品やサービスに関する情報を発信する場としても機能します。例えば、カスタマーレビューがその代表例です。
EC販売におけるマーケティングの基本とは?
ここからは、EC販売におけるマーケティングの基本について解説します。
世界中に商圏を広げられる
ECマーケティングの特徴の一つは、商圏を世界中に広げられることです。通常の実店舗では、顧客の範囲はその店舗へ足を運べる周辺地域に限定されますが、ECマーケティングでは、インターネットが繋がっている場所ならばどこでも商品やサービスを提供することが可能です。
国や地域の法規制を除けば、ECマーケティングではターゲットに制限はありません。そのため、世界中のあらゆる地域を顧客として考えることができます。
オンラインで完結する
ECサイトの特徴の一つは、販売が完全にオンライン上で行われることです。顧客は自分の都合の良い時間にサイトを訪れて商品を購入できるため、時間や場所の制約がないことが大きなメリットです。
この特徴により、ECサイトは24時間365日稼働し、販売活動を継続することが可能です。また、実店舗のような陳列や接客が不要なため、比較的少ないコストで運営できるのも特徴の一つです。
ただし、対面での接客がない分、顧客とのコミュニケーションが難しくなることもあります。そのため、サイトの利便性を高めるマーケティング施策や顧客サポートの充実など、コミュニケーション不足を補う取り組みが必要です。
データの利活用ができる
ECサイトの特徴の一つは、様々なデータを取得して分析しやすいことです。ユーザーのアクセスデータや注文内容などを収集し、効果的なマーケティング施策を実施するための貴重な情報源となります。
例えば、広告への反応からECサイトへのアクセスまでのユーザーの行動経路を追跡し、マーケティングの効果を評価することができます。また、顧客の注文内容や購買履歴を分析することで、売れ筋商品や顧客嗜好の傾向を把握し、効果的な商品戦略を展開することが可能です。
豊富なデータを取得・分析できることは、ECマーケティングの大きな強みです。正確なデータをリアルタイムで取得し、PDCAサイクルを素早く回すことが、ECサイト運営の成功につながります。
EC販売におけるよくある課題
次に、EC販売においてよくある課題について解説します。
集客が伸びない
ECサイトの集客が思うように伸びないという課題は、多くの事業者が直面している問題です。広告宣伝の不足や集客方法の不明確さがその背景にあります。広告に予算を割けば一定程度の集客は見込めますが、予算が限られている場合はSEOなどのオーガニックな集客方法にも注力することが重要です。
特に、オウンドメディアの活用は効果的です。コンテンツマーケティングを通じて自社の情報発信力を高め、中長期的な集客を見込むことができます。これは費用対効果が高く、持続的な集客を確保する上で有益です。
また、集客の向上は売上を増やすための第一歩です。社内に必要なスキルや知識がない場合は、外部パートナーに委託して集客の強化を図ることも検討すべきです。
分析ができない
多くのECサイト運営者が直面している課題の一つが人手不足です。デジタル化の進展によりEC市場は急速に拡大し、業務量も増加しています。そのため、次の施策を考えるための分析作業に人手が回らない状況が少なくありません。
特に、人員が限られている企業では、商品登録や受注処理などのノンコア業務に追われ、売上増加のための戦略策定に十分な時間を割けないことがあります。そのため、さらなる売上向上を目指すには、現状を定量的に把握し、課題を明確にすることが重要です。
ECマーケティングの強みである豊富なデータを活用するためには、業務効率化を図るツールの活用が不可欠です。正確かつタイムリーなデータの計測と分析が可能な環境を整えることで、適切な施策の立案や改善が可能となります。
リピート率が悪い
CPA(顧客獲得単価)の改善は、リピート率の悪化という課題を生み出すことがあります。特に、単品・リピート通販ではこの問題がよく見られます。
近年、顧客獲得の競争が激しくなり、初回購入だけでは広告費の回収が難しい状況です。そのため、投資回収期間を短縮するためには、お試し価格や無料サンプルの提供などのキャンペーンを行うことが一般的です。しかし、これらのキャンペーンで獲得した顧客は、動機が弱く、継続的な購入を促すのが難しい傾向があります。その結果、リピート率が低下してしまうことがあります。
CPAやCPOを下げる施策は、しばしばリピート売上を減少させる可能性があります。したがって、広告戦略を考える際には、単なるCPAだけでなく、リピート率やLTV(顧客生涯価値)を含めた総合的な視点が重要です。
EC販売戦略の考え方
最後に、EC販売戦略において重要な考え方について解説します。具体的な施策を検討する前に、これらの前提となる考え方を理解しておきましょう。
目標設定を具体的に行う
ECマーケティングを成功させるためには、明確な目標設定が欠かせません。目標を明確にすることで、どのような状態になるべきかを理解し、そのための具体的な施策を立てることができます。
まず、KGI(Key Goal Indicator)は事業の最終目標を示す指標です。例えば、「売上1,000万円」などがKGIになります。
次に、KPI(Key Performance Indicator)は目標達成の過程を定量的に評価する指標です。集客数やCVR(Conversion Rate)、購入単価、リピート率などがKPIとして挙げられます。
そして、KSF(Key Success Factor)は事業を成功させるために必要な要因です。これは定量的な指標ではなく、例えばサイトのユーザービリティ向上や商品の認知度向上など、定性的な要素が含まれます。
これらの目標設定を通じて、ECサイトの成功に向けた具体的な方針や施策を考え、実行していくことが重要です。
顧客ファーストを追求する
ECサイトの成功において重要な要素の一つは、顧客にとっての使いやすさを追求することです。オンライン上での購買体験は対面での接客とは異なりますので、サイトのUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)の改善が欠かせません。
重要なのは、ユーザーがサイト上でどのような行動をとり、どこで使いづらさを感じているかを理解することです。例えば、カテゴリページと商品ページを頻繁に行き来していることが分かれば、商品ページ上に同カテゴリの商品へのリンクを配置することでユーザーの利便性を向上させることができます。
ヒートマップやアクセス解析などのツールを駆使してユーザーの行動を分析し、その結果をもとにサイトの改善を繰り返すことが重要です。これにより、顧客にとってより良い購入体験を提供し、サイトの利用者数や売上を増やすことができます。
評価軸を明確にする
広告の投資判断を行う際には、単にCPA(顧客獲得単価)だけではなく、LTV(顧客生涯価値)を評価軸にした考え方が不可欠です。最初の購入で広告費用を回収できないことが多い現在、初回のコンバージョンだけでなく、リピート売上を見据えた戦略が必要です。
CPAを抑えるために強いオファーを出すことで、短期的には多くの顧客を獲得できるかもしれません。しかし、そのような戦略は中長期的には利益を圧迫する可能性があります。広告費用を回収し、さらなる利益を生み出すためには、顧客のリピート購買に焦点を当てた戦略を構築することが重要です。
改善を繰り返す
ECマーケティングでは、ただ施策を行うのではなく、その成果を正確に把握し、改善につなげることが肝要です。成果を見極めることなく施策を続けると、何がうまくいっているのか、何が問題なのかが分からなくなります。各施策の効果を評価し、注力すべき点と改善すべき点を見極めることが必要です。
特に複数の施策を同時に実施している場合は、広告効果測定ツールの活用が重要です。これにより、各広告媒体の成果を一元管理し、統一した基準で投資の判断ができます。これにより、迅速に現状を把握し、必要な改善を行うことが可能になります。効果的なPDCAサイクルを確立することで、効率的なマーケティング施策を展開しましょう。
まとめ
EC販売を成功させるためには、しっかりとした戦略を練る必要があります。具体的には、SEOやSNSやさまざまなツールの活用が挙げられます。しかし、前提とした目標設定や顧客ファーストの目線が欠けてしまうと成果に結びつけるのは困難になるでしょう。これらの重要な情報をしっかりと理解したうえで、自社に合った戦略を検討しましょう。