成長を続ける越境EC市場で流通を伸ばすために必要なプロモーション
コロナウイルス流行による巣ごもり需要増加に伴い、世界的にEC市場は拡大を続けています。訪日客の激減によってインバウンドはリアルからオンラインへシフトし、越境ECを通じて日本の商品を購入する海外ユーザーが増加しています。なお、「Buyee(バイイー)」を利用されている海外のお客様約800名に実施したアンケートでは93%以上が、「アフターコロナ以降も越境ECを利用したい」と回答しており、6月から再開される訪日後の越境ECのポテンシャルの高さも伺えます。
今後も伸長が見込まれる越境EC市場には現在多くの日本企業が参入しています。越境ECのファーストステップは、サイトの越境EC化ですが、流通を上げていくためにはリアルタイムな購買データから見える自社商品の海外需要の把握と、その分析によるエリア・言語・時節に特化したプロモーションが求められます。
プロモーション設計には、定量データと定性データの2つの視点での設計が必要になります。BEENOSグループが提供する「Buyee」、「Buyee Connect」ではダッシュボード機能によって海外ユーザーのデモグラフィックおよび購買データをリアルタイムで可視化、売上や注文件数、注文単価などの推移が定量データとして確認できます。また、定性データは海外のお客様に個別インタビューを実施するといった方法があります。
今回は、定量データだけでは把握できない定性的な海外のお客様のインサイトを掴むためにインタビューを実施しました。ご協力いただいたのは、タグ設置のみで海外販売可能な「Buyee Connect」を導入いただいている靴下専門店「Tabio」様を利用しているお客様2名です。
Tabio様のECサイト(Buyee Connect導入後)
越境ECを利用して日本商品を購入されているお客様へインタビュー / 前編
【インタビュー概要】
形式:オンラインインタビュー
実施日程:2022年4月26日(火)、27日(水)
購入エリア:台湾
購入者の性別:女性
購入者の年齢:30代
人数:2名(個別インタビュー)
購入ショップ:靴下専門店「Tabio」(https://tabio.com/jp/)
購入前:商品・ショップの認知、購入の検討のための情報収集の方法
越境ECで購入する商品とその理由を教えてください。
Aさん:海外限定販売商品、希少価値のある商品を購入。
Bさん:コロナ前では半年もしくは一年に一度、日本や韓国を観光していたが、旅行できない状況の中、越境ECを活用して海外の食品や日用品を購入している。代理購入の手数料は少し気になるため、主に台湾で買えない、見つからない物を購入している。
海外からアパレル商品を購入する際の決め手は何ですか?
Aさん:商品代金以外で海外手数料、国際送料など様々な費用を払ってまでわざわざ海外から買い物する場合、品質が高ければ、価格はあまり気にならない。機能性と健康が一番重要な基準。
Bさん:近隣の韓国と比較すると、日本のファッションの選択肢の幅が広く、デザインが豊富で、大きいサイズでも可愛いデザインがいっぱいあり、ぽっちゃり気味の人に優しいところが好き。T.P.Oを考えて服を着分けるので、靴下もちゃんと選ばないといけない、デザイン性を一番重視している。
アパレル商品購入の際に参考にしている情報などがあれば教えてください。
Aさん:ファッションアイテムに関しては、他国の商品も買ったが、見た目重視で着心地がそんなに良くないと感じた。結局、最初から日本の商品を買った方が良かったと感じた。
靴下だけではなく、他の日本製のファッションを買う際に、インスタでフォローしているKOLやインフルエンサーも参考にしている。特にインスタで個人として代行業者をやっている人が増えているようで、信頼できるインフルエンサーなら購入意欲も高くなりなる。
Bさん:日本のファッション雑誌、情報誌を参考にしている。インフルエンサーの影響より、知人の口コミや友達からのおすすめの方が重要な情報である。
Tabioブランド・サイトを知って購入したきっかけはなんですか?
Aさん:きっかけは、コロナ前で3,4年前に日本に観光した際にTabioを知った。
Bさん:訪日した際に通りかかったお店でたまたまTabioの商品を見つけて、履いてみると着心地がよくて、Tabioというブランドを覚えた。台湾に帰国して、Tabioを検索してみると、公式サイトを見つけて、それ以来、定期的に新しい商品をよくチェックしたりしていた。なかなか販売経路が見つからなくて困っていたが、facebookでTabioの広告を見て公式サイトが台湾向けに越境ECを行っていることを知った。
「Tabio」の海外向けSNS広告(向かって左よりfacebook、Instagram)
Tabio商品の購入決定までの流れと参考にしている情報などを教えてください。
Aさん:いつも商品レビューを参考にお買い物しており、facebookやInstagramといった主要なSNSをチェックしており、YouTuber、ブログなど越境E C向けのフォルム(日本製への商品レビュー専門のコミュニティ)もよく読んでいる。
Bさん:Tabioだけでなく、訪日した際に他社の靴下も気まぐれで何度か買ったことがあるが、Tabioは一番着心地が良い。そのため、外部情報より自分自身の必要性と使用体験を信頼している。インフルエンサーなどはあまり見ない。インフルエンサーや芸能人が使うとイメージが良くなるかもしれないが、必ずしも自分に合うわけではないと思う。さらに、そのインフルエンサーや芸能人のイメージが会社やブランドにつながるため、そのインフルエンサーや芸能人のファンではなかったら、逆に買いたくなくなってしまう。
日本製であることも購入を後押しする要素でしょうか?
Aさん:ある程度日本製への信頼度は高い。様々な場面に対して使い分けをしており、独特性のある商品、希少性の高い商品は、日本製を信頼している。日本製のものは、全体的にリピート購入している。
Bさん:やはり日本製は品質が保証されていると思う。品質がありながらも、高価ではなくコスパがとても良い。日本製への好感度は高いが、SNSや越境ECで初めて見るブランドの場合は本当に日本製かどうか分からないため、購入に不安がある。
―ありがとうございました。質問は後編に続きます
前編では越境EC利用時の商品購入前の情報収集や比較検討などの購入前の段階についてお話を伺いました。アンケートでは越境ECを利用して購入しているものは自国で買えない海外の商品であること、アパレル商品には特に品質やデザイン性が求められていることや日本製品への信頼度の高さ、商品購入の検討時にはKOLやインフルエンサーを参考にする人がいるということがわかりました。
後編では商品購入時と購入後の段階についての質問への回答を掲載します。
前回は、タグ設置のみで海外販売可能な「Buyee Connect」を導入いただいている靴下専門店「Tabio」様を利用しているお客様2名に行ったアンケートの内容(主に「購入前」について質問)を掲載しました。後編では、引き続きアンケート結[…]