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海外リスティング広告とは
海外リスティング広告とは、自社商品の認知度を向上したいと考えている国で利用される検索エンジン上で、ユーザーが検索したキーワードに合わせて検索結果画面に表示される広告のことです。広告主は、自社商品に関連するキーワードを選定して、広告を出稿します。Googleでは、キーワードを検索したときに検索結果上部に表示される「広告」タグの付いているものがリスティング広告にあたります。
リスティング広告は、クリックされた数に応じて広告主に料金が請求されます。SEO対策など効果が出るまでに時間のかかるマーケティング方法とは異なり、料金を支払うだけですぐに検索結果上部に表示されるため、時間をかけずに成果を求めるのであればリスティング広告が向いています。
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英語で海外リスティング広告を行うメリット
英語で海外リスティング広告を行うメリットは、英語を使用する複数地域に同時配信が可能な点と、日本にいながら海外向けのマーケティングを展開できる点です。
英語を使用している複数地域に同時配信が可能
英語が話されている地域はアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドに加え、シンガポールやマレーシア、フィリピンといった東南アジアの国や中央アメリカ、アフリカなど世界中に存在します。そのため、英語で広告配信ができると、英語を使用する複数国のユーザーに同時にアプローチすることができます。
日本にいながら海外向けのマーケティングが可能
また、英語に限らず海外向けのリスティング広告は日本にいながら出稿が可能です。海外出張や拠点の設置にコストをかけることなく、海外ユーザーにアプローチできます。
リスティング広告の場合、自社商品に関連するキーワードを検索したユーザーに直接アプローチでき、自社商品に興味を持つ可能性の高いユーザーへの認知度を日本にいながら高めることができます。特にGoogleは世界中の国々で高いシェアを占める検索エンジンで、ユーザーのウェブ上での活動の窓口です。Googleの検索エンジン上で自社商品をアピールできれば、より多くの集客効果を見込めます。
主な英語圏の地域と特長
次に、英語圏と言われる国と、利用されている検索エンジンについて地域別に紹介します。
ヨーロッパ(イギリス、アイルランド、マルタ)
ヨーロッパではイギリス、アイルランド、マルタの他ガーンジー島やジブラルタル、ジャージー島、マン島でも英語が話されています。また欧州連合では英語も含めて加盟国の26言語が公用語という扱いになっています。ヨーロッパではアメリカのGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のプラットフォームのシェアが高く、リスティング広告ではヨーロッパのシェア93.24%を占めるGoogleをまずおさえるべきだといえます。ヨーロッパではBingのシェアは3.19%、ロシア語の検索エンジンであるYandexが1.49%を占めています。(statcounterのデータ、2020年9月時点)
北アメリカ(アメリカ、カナダ)
北アメリカのアメリカとカナダでは英語が母国語として話されていますが、アメリカのヒスパニック系が多い地域などではスペイン語も話されています。アメリカとカナダの検索エンジンではGoogleが約90%、bingが約6%と、ヨーロッパ地域と比較してGoogleのシェアが若干低くbingのシェアが3%ほど高くなっています。ターゲットとするユーザーによっては、bingでのリスティング広告配信を検討した方がいい場合もあるでしょう。
オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)
オセアニアでは、オーストラリアとニュージーランドに加え、フィジー、キリバス、サモアといった多くの国々で英語が話されています。オーストラリアとニュージーランドではGoogleのシェアが約94%と、ヨーロッパよりも若干高く、北アメリカよりも4%高くなっています。
中央アメリカ、南アメリカ
中央アメリカでは、ジャマイカ、ドミニカ、トリニダード・トバゴといった多くの国々で英語が話されています。南アメリカではガイアナとフォークランド諸島で英語が話されています。中央アメリカの国々でもGoogleのシェアが90%を超えており、リスティング広告ではまずGoogleへの出稿を検討すべきといえます。
アジア
アジアでは、シンガポール、フィリピン、香港のほか、インドやパキスタン、マレーシアなど多くの国で英語が話されています。シンガポールやマレーシアでは英語の他にも中国語、マレー語、タミル語など多くの言語が話されているのが特徴です。人口13.5億人のインドでは英語が準公用語として指定されており、英語サイトへの流入数においては無視できない存在です。
アフリカ
アフリカでは、南アフリカ共和国をはじめ、ウガンダ、ガーナ、ケニアなどで多くの地域で英語が話されています。アフリカ全体でGoogleの検索エンジンシェアは97.03%と非常に高く、アフリカの国を対象にリスティング広告を行う場合、Googleでの配信が適切だといえます。
英語圏で使用されている検索エンジン
英語圏で使用されている検索エンジンは、主にGoogle、Bing、Yahooの3つです。Statcounterのデータによると、アメリカではGoogleのシェアが88.15%、bingが6.67%、Yahoo!が3.19%(2020年9月時点)となっており、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドではGoogleのシェアが90%を超え、bingが5%前後、Yahoo!が1%前後となっています。以下では、Google、Bing、Yahoo!の3つの検索エンジンについて、紹介します。
Googleは英語圏のみならず世界でも92.26%のシェアを誇る世界最大の検索エンジンです。アメリカのGoogle社によって提供されています。リスティング広告を配信したい場合、GoogleAdwordsを利用してアカウントを開設します。日本からもアカウント開設ができ、設定画面は日本語で操作が可能なため、海外向けの広告でも手軽に配信が可能です。
Bing
BingはアメリカのMicrosoft社が提供する検索エンジンです。Windowsのブラウザソフトに組み込まれており、英語圏でも一定のシェアを占めています。Bingの特徴は、ページから単純にテキストを探し出すだけでなく、現実世界の状況に合わせた検索結果を返すような設計がされていることです。Bingでリスティング広告を出稿する場合には、Microsoft社の「Bing Ads」に登録します。対応言語は英語のみとなっています。
Yahoo!
Yahoo!は日本では19.26%と高いシェアを占めているものの、英語圏では1%前後と低い割合で利用されています。アメリカではVerizon Media社によって運営されています。アメリカのYahoo!はBing検索の技術を導入しているため、Yahooリスティング広告を日本から海外向けに出稿する場合Microsoft社のBing Adsを利用します。日本からもアカウント開設が可能ですが、設定画面などの対応言語は英語のみとなっています。
英語で海外リスティング広告を成功させる5つのポイント
次に、英語での海外リスティング広告を成功させるためのポイントを5つ紹介します。
英語圏の中でも配信国を定める
1つめのポイントは、英語圏の中でも、リスティング広告を配信する国を決めることです。英語圏といってもアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスの他、第二公用語として利用される国も含めればかなり多くの数になります。
同じ英語を話していても、国によって文化や習慣は異なり、同じものを指す単語が違うこともあります。経済発展のレベルによっては、消費者が購入したいと思う商品も金額も異なります。具体的にどの国をターゲットとするか決定し、その国のニーズに合った方法でリスティング広告を配信しましょう。
自社の英語ウェブサイトがあるのであれば、そのサイトへのアクセスデータから流入や問い合わせ率の高い国を選ぶことができます。また、自社の営業担当者など、海外の顧客と直接接点を持つ人にヒアリングをし、自社商品に対してニーズの高い国を聞いてみる方法もあります。
ターゲット国の見当がつかない場合には、Googleが提供する「マーケットファインダー」や「Google広告キーワードプランナー」を利用すると検索ニーズを見つけやすくなります。
Google Market Finder
https://marketfinder.thinkwithgoogle.com/intl/en/
Google広告キーワードプランナー
https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/
ターゲット国での競合を調査する
ターゲットとなる国が定まったら、次にその国にどのような競合がいるのかを調査します。Google広告の「プレビューと診断ツール」という機能を使えば、検索キーワードに対して、特定の国のドメイン(シンガポールであればgoogle.com.sgなど)でどのような広告が表示されるかを調べることができます。
ターゲット国にどのような競合他社、競合商品があるかを知り、その市場で自社商品が勝てるのかどうかも事前にリサーチします。自社が考える競合と、ユーザーが実際に比較する競合とが相違している場合もあるため、この調査はユーザー視点でのマーケティングにおいて重要です。
どのような競合があるかを知ることで、競合と比較したときの自社の競争優位性を考えるきっかけとなります。競合に対する具体的な対策と、競争優位性をアピールしたリスティング広告を企画することで、より効果的にマーケティングが展開できます。
広告キャンペーンは国ごとに分ける
ターゲットとする国が複数ある場合、広告キャンペーンは国ごとに分ける必要があります。これは国が違うと特定のキーワードに対するクリック単価が異なるのに加え、時差、パフォーマンス(コンバージョン率)が異なってくるからです。
同じ英語圏とはいえ、国や地域が違えばユーザーの行動は異なってくるため、広告キャンペーンでも入札や予算配分、時間帯による配信調整が必要になります。国ごとに広告キャンペーンを分けて国に合った対応をし、CPA(コンバージョン獲得単価)の最適化や、コンバージョン率の最大化につなげます。
拠点のある地域名を入れる
例えば自社の商品やサービスがオーストラリアで提供される場合、広告表現の中に「オーストラリアのサービスである」ことを明示する必要があります。
英語で広告を配信すると、ユーザーにとってその商品やサービスが、どこのサービスなのか分かりづらくなります。というのも、例えばオーストラリアのユーザーが英語で検索する場合、オーストラリア以外の商品やサービスに関する情報も検索結果に出てくるからです。オーストラリア国内にあるサービスなのか、そうではないのかが分かりづらくなります。
英語はインターネット上で最も利用されている言語であり、ユーザーが特定地域の商品やサービスを探す場合には「xxx in Australia」のように地域名を含めて検索する傾向があります。日本では日本語を使うのは日本国内だけなので「xxx 日本」という検索をすることは殆どありませんが、英語で検索する場合は世界中の情報が表示されるため、地域名を入れて検索されます。
リスティング広告で自社サービスの拠点を伝える場合、広告文の中に「in 地域名」といった文言を含める方法のほか、住所表示オプションや電話番号表示オプションを使う方法もあります。また、クリック先のウェブサイトのドメインをその国の国別コードトップレベルドメイン(オーストラリアの場合xxx.auなど)にすると、どこの国のサービスなのかがより伝わりやすくなります。
ネイティブによるキーワード設定を行う
英語は外国語の中でも日本人で習得している人が最も多い言語といえますが、広告が表示されるキーワードの選定はターゲットとする国の英語のネイティブに確認してもらうのが望ましいでしょう。
その理由は、同じことを知りたくても日本人ユーザーの検索の仕方と外国のユーザーの検索の仕方が異なるからです。例えば日本であれば大阪の観光名所を知りたいときに「大阪 観光」と検索しますが、欧米圏では「what to do in Osaka」や「what to see in Osaka」というようにフレーズで検索する傾向があります。これを検索習慣の違いといい、検索するときに入力するキーワードが異なります。
また、ネイティブによるキーワード設定が望ましい理由として、日本語を英訳した単語が、本当にネイティブがよく使う表現かどうかは分かりづらいからです。また和製英語といって、日本語で使われているカタカナ語が、ネイティブが使う英単語とは違う意味を指しているものも多数存在します。例えばリフォームは英語でrenovate、ノートパソコンはlaptopであり、日本人が使っているカタカナ語をそのまま英単語にしても意味が通じない場合があります。上記のような理由から、キーワードの選定はターゲット国のネイティブに確認してもらうのが良いでしょう。
英語でのリスティング広告を行う手順
最後に、英語でのリスティング広告を配信する手順を解説します。
1. 地域とターゲット属性を決定する
まず、英語圏の中でも、どの地域のだれに向けて配信するのかを決定します。英語はアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど英語を母国語とする国以外にも、インドや香港、アフリカ諸国からの検索も非常に多いです。
したがって、自社がプロモーションをしたい商品やサービスについて、どの地域のだれをターゲットにするのか十分に検討しましょう。地域や年齢、性別に加え、ライフスタイルや趣味、持っている悩みなど具体的なペルソナを設定します。英語を使って配信するだけではなく、だれに自社の商品を知ってもらうのかを決めて配信することが重要です。
2. キーワードを選定する
ペルソナを決定したら、次にどのようなキーワードに対して広告を制作するのかを検討します。キーワードの選定は非常に重要で、ターゲットとするユーザーが検索すると考えられるキーワードの候補を、ネイティブの知見も入れながら選定します。
3. 競合を調査する
キーワードをいくつか選定したら、競合を調査します。Google広告の「プレビューと診断ツール」などを利用して、選定したキーワードに対して、特定の国でどのような広告が表示されるかを調べます。
想定しているキーワードで表示される競合はどのような商品なのか、検索結果に上位表示される競合の内容を確認します。そのなかで自社の広告にも取り入れると良い点や、競合と差別化を図るポイントを分析し、自社の広告文作成に活かします。
4. ネイティブによる広告文作成
広告文の作成は必ずネイティブに依頼します。非ネイティブによる英語では、不自然な表現になってしまう可能性があり、その場合ターゲットユーザーから信頼されず、結果的にクリック率やコンバージョンが低いレベルで停滞してしまいます。
また、ネイティブでも、SEOに関する知識を持ったコピーライティングの専門家による制作が望ましいです。広告文は必要に応じて複数のパターンを作り、テストして最適なものを選びます。リスティング広告の運用は、テストを繰り返し、時間をかけて最も効果的な方法を見つけていく姿勢が大切です。
5. 予算の最適化とブラッシュアップ
広告文を作成して配信した後にも、常にデータ分析を行い、広告文を調整します。特に海外のマーケティングに初めて挑戦する場合には、データを蓄積する必要があり時間がかかります。予算を考えながらも、慎重に広告文を調整し、効果的なリスティング広告を配信しましょう。
まとめ
英語圏は第二公用語として話される地域も含めると非常に多くの国や地域が対象となり、英語でマーケティングを展開できると広い範囲での新規顧客獲得が期待できます。同時に、インターネット上で最も利用される言語だからこそ、詳細なターゲティングと現地の競合に勝てるマーケティング戦略が重要です。十分な調査をした上でネイティブの知見を借りながら、効果的なリスティング広告を配信しましょう。