目次
オウンドメディアとは
オウンドメディアとは、広義的には自社が発行するパンフレットやインターネットのウェブサイト・ブログなど、企業が自ら所有して顧客へ向けて発信する媒体を指します。オンラインマーケティングにおいては、自社で運営と情報発信を行うブログのようなサイトを指す表現として使用されます。
会社紹介のサイトだけでなく、オウンドメディアを自社で運用し有益な情報を発信し続けることで、より多くの潜在顧客にアプローチすることができます。また、商品の開発過程のストーリーや、商品に込められた思いといった、商品やサービスの説明だけでは語りきれない背景や思いをコンテンツとして配信することで、自社商品へのファンを増やし、リピーターを育てていくことができます。
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海外向けのオウンドメディアを構築するメリット
海外向けのオウンドメディアを構築するメリットには、日本にいながらインバウンド向けのアピールができること、また外国語で発信することで競合他社と差別化を図り、新たなビジネスを創出できることです。
日本にいながらインバウンド向けのアピールが可能
メリットの1つは、日本を拠点としながらも海外にいる訪日予定の観光客や訪日を検討している消費者に向けて発信できることです。2021年の東京オリンピックや2025年の大阪万博など、外国語対応に加えて訪日観光客へアピールする機会が増えており、海外に向けて自社の魅力を発信する方法としてオウンドメディアの選択は効果的だといえます。また地方の魅力を海外へ発信する場として、外国語での情報発信ニーズは増えてきています。
他社との差別化、新たなビジネスの創出
2つめのメリットは、自社のコンテンツを外国語で発信することで競合他社との差別化を図るのに加え、情報発信によって海外企業との新たなビジネス創出を期待できることです。日本語での発信のみですと、読み手は日本人や日本企業のみに限られますが、外国語のコンテンツを発信することで、日本以外の地域の読み手を自社のオウンドメディアに呼び込むことができます。海外では知られていなかったところから、オウンドメディアを通じて知名度を高めることで、新しいビジネスの機会を得られる可能性があります。
海外インバウンド向けのオウンドメディアの構築手順
次に、海外インバウンド向けのオウンドメディアの構築手順を解説します。
目的を決める
オウンドメディアはマーケティングの一貫であり、事前準備が重要です。ウェブサイトを作る前に、サイトを作る目的は何か、誰に向けたどのようなサイトを作るのかを明確にし、ウェブサイトの運営方針を決めます。
まずオウンドメディアを運営する目的を決定しましょう。ただ、他社がやっているから、流行りだからという理由で始めてしまうと、目的無く中途半端な状態で運営していることになり、成果が出にくくなります。
オウンドメディアは一般的に「企業ブランディング」「新規リード(見込み顧客)の獲得」「商品・サービスの宣伝」「人材の採用・求人」につながります。
ブランディングの点では、コーポレートサイトでなく、発信した情報や記事からサイトに訪問するユーザーが増えるため、企業の認知度が上がりやすく、自社のファンを増やすことができます。検索上位に出ているサイトは業界上位であると認識されやすいという調査結果もあり、サイトで有益な情報を発信し続けて検索上位を取ることができれば、信頼の獲得とブランディング効果が期待できます。
見込み顧客獲得の点では、オウンドメディアを通じて発信する自社商品の情報や業界に関する記事にSNSや検索から新規アクセスが集まるため、問合せに繋がるような仕組みをサイトに組み込んでおけば、見込み顧客を効率的に獲得することができます。
商品・サービスの宣伝の点では、オウンドメディアで自社商品を「ユーザーが抱える問題に対する解決方法の1つ」として紹介することで、自然な形で自社商品を宣伝し、後の購買行動につなげることができます。
人材の採用・求人の点では、オウンドメディアで社員の紹介や職場環境を発信することで、会社で働くことに興味を持つ人が増え、自社の社風に合うと考える人からの応募が増えるようになります。
オウンドメディアを運営する目的は、一般的には上記の「企業ブランディング」「新規リード(見込み顧客)の獲得」「商品・サービスの宣伝」「人材の採用・求人」の4つのどれかに当てはまります。これらの中から、目的を1つ、あるいは2つに絞り、目的を達成できるように意識してオウンドメディアを運営します。
集客チャネルを決める
目的が決まったら、次にどこからサイトへのアクセスを集めるかを決めます。これは検索エンジンからのアクセスとSNSからのアクセスの2つが考えられます。
検索エンジンから集客する場合には、SEO対策(SEO=検索エンジン最適化)を行い、Googleなど検索エンジンでの検索結果で上位表示を狙う必要があります。検索したユーザーが満足できる有益なコンテンツを発信することで、特定のキーワードが検索された場合に自社の記事を上位表示させることができます。
SEO対策をするメリットは、検索上位を取っている記事であれば、高い評価を受ける競合記事が出てこない限り、長期間上位を維持できることです。数年前の記事であっても検索経由で多くの集客を期待できます。また、オウンドメディア内の記事数が増えるほど、アクセス数も増えていくことが特徴です。
SNSから集客する場合、ファンをつくることを意識します。SEO対策とは異なり、SNSでは過去に投稿された記事が見られることはあまりありません。したがってトレンドや旬を意識しながら投稿していく必要があります。ファンを作れれば、定期的に自社のコンテンツをシェアしてもらえるようになります。またSNSでは自社に関連するキーワードを検索しない、新規の見込み顧客となりうるユーザーにもアプローチが可能です。
自社で運用するか、外注するかを決める
オウンドメディアの目的と集客方法が決まったら、自社で運用するのか外注するのかを決めます。全部外注もできますし、運用の一部のみ外注するという選択肢もあります。
自社で運営できるスキルを持っており、コストをできるだけ少なく抑えたいという会社であれば自社運用がおすすめです。自社運用であれば無料でブログを作れるWordPressなどを利用すればドメイン代とサーバーだけで運用可能です。ただし自社運営だとクオリティが低くなる可能性があります。コストはかかってもオウンドメディアのクオリティを上げてアクセスを増やしたい場合は、外注をおすすめします。
サイトを制作する
運営方法が決まったら、実際にオウンドメディアとなるサイト制作に移ります。サイトを制作する方法は、業者に委託する、開発者を採用する、WordPressなどのツールを使う、の3パターンが考えられます。
サイト設計について知識がない場合には、業者に依頼するのが望ましいでしょう。自社である程度サイト設計の知識がある場合には、エンジニアやデザイナーなど開発者を採用して自社内で制作することも可能です。採用によりコストはかかりますが、自社内で開発チームを持つことで、細かな変更や施策についてスピーディーな実行が可能です。その他に、WordPressなどのブログ作成サービスを利用して、サーバーとドメイン代のみで格安でブログを作成・運用することも可能です。
記事を作成する
オウンドメディアとなるサイト制作が終わったら、サイトに投稿する記事を作成します。海外向けメディアでの執筆時に重要なのは、ただ闇雲に記事を作成するのではなく、「対策キーワード」「検索意図」「記事構成」「ライティング時に対策キーワードを盛り込む」「自然な外国語で執筆する」の4つのポイントに注意することです。
対策キーワードとは、ユーザーが検索エンジン上で検索するときに入力するキーワードのことを指します。自社の商品やサービスに関連するキーワードを選択して、検索した人が満足できる記事を作成します。
キーワードはよく検索されるもの(検索ボリュームが多いもの)、コンバージョン率(ユーザーが購入や問い合わせなどの行動を起こす確率)が高いもの、から選ぶのがおすすめです。コンバージョン率の高いキーワードは「おすすめ」「比較」「代行」「評判」といった、ユーザーが既に行動を起こすことを考えているときに使うキーワードのことです。海外向けのオウンドメディアでは、現地のネイティブが検索するときに使われるキーワードを調査し、選定します。
検索意図というのは、ユーザーはどのような情報を知りたくてそのキーワードを検索したのかという潜在的な意図を考えることです。ユーザーが抱える悩みを解決する情報を知りたいのか、企業の雰囲気について知りたいのか、商品のメリットや使い方について知りたいのか、というような検索意図を事前に考え、その意図に答えた記事を作成することが重要です。
検索意図を明確にしたら、構成を組み立てます。大見出しに沿って、中見出し、小見出しでより具体的な内容を執筆するようにします。事前に構成を組み立てることで、収集すべき情報や記事の方向性が明確となり、ユーザーにとってより有益な記事となります。
実際の執筆にあたっては、選定した対策キーワードを多めに盛り込んで執筆を進めます。対策キーワードを入れることで、そのキーワードについて書いているというのを検索エンジンに認識してもらいやすくなります。
日本語で書いた記事を翻訳する場合であっても、はじめから外国語で執筆する場合でも、ターゲットとする言語の読み手が違和感なく読み進められるような、自然な言語で執筆することが大切です。機械翻訳したものでは直訳となってしまい、違和感の多い読みづらい記事になります。翻訳であっても外国語での執筆であっても、最終的にはその言語のネイティブに自然な文章となっているかどうか、確認してもらいましょう。
データを分析する
記事を執筆しオウンドメディア上で公開したら、公開したページに関するデータ分析を行います。検索結果に表示される順位、ユーザーのページへの流入経路や滞在時間、コンバージョン率をチェックします。GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールでこれらのデータを見ることができます。
公開から数ヶ月経っても検索順位が上がらなかったり、ユーザーの滞在時間やコンバージョン率が悪かったりする場合には、分析結果に基づいて記事を編集し改善を繰り返します。
海外インバウンド向けのオウンドメディアを成功させる6つのポイント
最後に、海外インバウンド向けのオウンドメディアを成功させるポイントを6つ解説します。
ターゲットを定める
1つめのポイントとして、コンテンツをどこの誰に届けるのかを常に明確にしておくことが大切です。地域や性別、年齢だけでなく、その人の職業やライフスタイルといった具体的なペルソナを策定します。ターゲットが必要とする有益な情報をコンテンツとして提供し続けることで、価値が高まって検索エンジンに評価されやすくなり、より効果的な運用が可能になります。
競合と顧客調査を事前に行う
2つめのポイントは、競合となるメディアとターゲットとなる消費者について事前に調査を行うことです。ターゲットとする地域の競合他社メディアには、どれ程のアクセスが集まっているか、どのようなコンテンツをどれくらいの頻度で更新しているのかなどを調査し、自社のオウンドメディアの競争優位性を明確にします。
コンバージョンポイントを明確にする
3つめのポイントとして、海外向けオウンドメディアの運用にあたり、コンバージョンポイントを読者に対して明確に示すことが重要です。例えば記事を読んでいるとお問い合わせのバナーが追いかけてきたり、資料ダウンロードしましょうといったボタンが現れたりと、記事の読み手に起こしてほしい行動をわかりやすく設置します。明確に示すことで、流入したユーザーをとりこぼす確率が減り、コンバージョン率が上昇します。
ネイティブによるキーワードの選定と記事のライティング
4つめに、日本向けのオウンドメディアとは異なり、海外向けオウンドメディアに重要なのは必ずネイティブにキーワードの選定とライティングの校正を依頼することです。日本向けのキーワードを外国語に翻訳するだけでは、得られる効果は少なくなります。ターゲットとする地域で検索されやすい関連キーワードをネイティブの目線で選定します。また、ネイティブにとって自然な文章となるよう、執筆は日本人による場合でも校正はネイティブに依頼しましょう。記事に不自然な表現があると現地のユーザーにとって読みづらく、情報の信頼性が損なわれるのに加え、検索エンジンからの評価は得られにくくなります。
目標を設定する
5つめに、海外向けオウンドメディアの運用で達成したい具体的な数値目標を設定することです。アクセス数やコンバージョン率に具体的な数値目標を設定することで、達成できていない場合は改善を続けるなどより効果的なメディア運用が可能になります。
分析と改善を常に行う
6つめに、記事を投稿した後の分析をこまめに行い、成果が出ない場合には改善を繰り返して目標に近づけることです。記事を頻繁に投稿することは重要ですが、投稿するだけでは良い効果は得られにくいでしょう。投稿後のデータ分析と改善が、効果的なオウンドメディア運用には大切なポイントです。
まとめ
海外インバウンド向けのオウンドメディアでは、ターゲットとする言語でのキーワード選定や執筆といった特別な運用が必要になりますが、検索したユーザーに対して有益な情報を提供するという本質的な部分は一緒です。インバウンド向けのオウンドメディアを活用して、海外からより多くの集客を実現しましょう。
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