台湾越境ECを始める前に抑えるべきポイントとは?特徴や注意点も紹介

この記事では「台湾の越境EC」について詳しく紹介します。

近年、「日本国内だけの商品販売から、今後は親日家で知られる台湾にもビジネスを拡大していきたい」と参入を検討する企業が増えていますが、日本国内のビジネスとは違うので「台湾越境ECではどんなことに気をつけなければならないのか」と悩む方も多くいます。

そこでこの記事では台湾の越境ECを始めようと検討している方に向けて、

  • 台湾越境ECについての基本情報
  • 台湾越境EC市場の特徴
  • 台湾を代表するECサイト
  • 台湾の越境ECを始める前に知るべき注意点と課題

について解説していきます。

それでは現在多くの日本企業から注目を集めている「台湾の越境EC」について詳しく紹介していきます。

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台湾の越境ECとは?

越境ECとはインターネットショッピングを通じて、国内の商品を国際的に販売する通信販売取引のことです。他国と比べて比較的参入しやすいことや、小さい国土面積でありながら高い成長率を誇る台湾の越境ECへの参入に多くの日本企業が注目しています。

台湾の基本情報

面積:約36,000平方km(36,750平方kmの九州本島とほぼ同じ)
人口:2016年時点で2,353万人(日本の約1/5)
言語:台湾語・北京語
通貨:ニュー台湾ドル
時差:UTC+8(-1時間)
スマートフォン普及率:81%(日本は75%)
インターネット利用時間:平均4時間17分(日本は2時間20分)

台湾越境ECの市場規模

出典:台湾のEC市場規模と年間成長率
https://info.taiwantrade.com/CH/bizsearchdetail/373046/I

経済省統計局によると台湾のEC市場規模は2012年では6,600億元(1台湾ドル3.5円換算で2.31兆円)でしたが、2016年には1.1兆元(1台湾ドル3.5円換算で3.85兆円)を超え、4年間で約2倍以上になるほど日本と同様大きく成長しています。

台湾でのECサイトショッピングでの利用頻度は平均して月に約2.5回、年間購入額は一人あたり26,587元(約93,200円)で利用頻度も多くなってきています。毎年10%以上もの高い成長率や利用頻度も増加傾向に続いており、今後の台湾EC市場にさらなる成長が期待できるでしょう。

台湾越境EC市場の特徴

台湾越境ECの特徴について5つ紹介します。

台湾越境ECの特徴①未婚率の高さ

台湾人女性の未婚率の高さは32%で、日本の12%と比べると約3倍も高い割合です。日本と同様晩婚化が進んでいる理由もひとつありその原因としては、理想の相手に出会ってない人が6割を占め経済的要因や仕事を理由としています。

台湾越境ECの特徴②購買欲の高さ

結婚している家庭は共働きが多く親と同居して住む世帯が多いため、金銭的余裕から自由に使えるお金があることが購買欲の高さに繋がっています。また台湾の女性は貯金をしない人が多く、欲しい物があればすぐ手に入れることも要因のひとつです。

台湾越境ECの特徴③整ったインフラ環境

台湾のインターネットインフラが整っているため、公共施設・カフェなどの飲食店・MRT(地下鉄)など多くの場所で無料のWi-Fiスポットが完備されています。特に首都の台北では公共Wi-Fiと飲食店などの民間のWi-Fiと広範囲で利用可能です。

全人口の約9割にあたる約2,000万人がインターネットを利用しているため、越境ECに欠かせない重要な役割を果たしています。インターネット利用者の約8割の人々はFacebookを利用しているので、Facebookを使ってプロモーションを行うのが効果的でしょう。

国土面積は九州本島と変わらない大きさで広くないため、配達速度も同市内で最短3時間と短時間で届けることができます。

台湾越境ECの特徴④利便性が高いコンビニ受取

日本でもコンビニの数は多く便利ではありますが、台湾のコンビニ総数も日本に負けず世界第2位に入るほど密度がとても高いです。コンビニ総数では韓国が1位、台湾が2位、日本が3位となっています。一人当たりのコンビニ数は世界一と言われるほど台湾でのコンビニを見ないことは難しく、首都台北では徒歩3分圏内の距離に4~5店舗は当たり前といった身近な存在です。

そして共働きの家庭が多いためECサイトで買い物をしても、自宅ではなくコンビニの店頭で受け取る方法が50%以上で選ばれています。支払い方法にはクレジットカードやATM以外にコンビニ決済と、商品をしっかり受け取ってから代金を払う代金引換の習慣が強く広がっているのが特徴です。

台湾越境ECの特徴⑤親日度の高さ

出典:JNTO訪日旅行データハンドブック2019年
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/jnto_databook_2019.pdf

日本政府観光局(JNTO)の調査によると訪日台湾人の数が毎年右肩上がりの推移で、2009年は102万人だったのが2018年には475万人と増えています。台湾人が最も好きな国を選ぶのは4割以上もの人々が日本を選んでおり、日本を訪れる8割以上が2回以上の訪日旅行経験者とされていることから、今後も訪日台湾人の数や日本商品の人気度は右肩上がりと予測されるでしょう。

さらには訪日旅行した台湾人の7割以上の人が、訪日中購入したもので気に入った商品を再び購入するデータがあります。日本の商品は品質と安全性が高いというイメージから信頼性があり、実店舗でも飲食店・健康食品・化粧品・アニメグッズなど日本ブランドというだけでも行列ができるほど台湾で人気です。

台湾越境ECの特徴⑥高くても限定商品の価値が高い

消費者は日本ブランドの物というだけで人気が高かった「質より量」の流れから現在では「量よし質」の方へ重心をおきはじめ、「日本限定販売商品」や有田焼や南部鉄器などの伝統的食器類やアニメキャラクターグッズなどの「贅沢品・嗜好品」は高価であっても価値が高い商品として人気があります。

台湾を代表するECサイト

出典:台湾のBtoCECサイト人気トップ10
https://news.ezprice.com.tw/11070/

台湾では数多くのショッピングサイトが存在しますが、多くの顧客を獲得するため価格・販売商品数・配送料・プロモーションなど各ショッピングサイトの強みを生かしたEC市場競争が行われています。

ショッピングサイトによってターゲット層・年齢層・取扱う商品などが異なるので、事前にユーザー層などと販売商品を一致させるように調査が重要です。台湾越境ECを行うにはどのサイトを使って出店するかの参考にできるよう、台湾で代表的なECサイト3つを紹介します。

台湾で人気のECサイト①PChome 24h

https://24h.pchome.com.tw/

「PChome 24h」は家電製品に強く、台湾最大の150万点以上のアイテムを取り扱う巨大ECショッピングサイトです。それらのアイテムはAmazonのように自社倉庫で管理されているため24時間以内に届くのが基本ですが、万が一24時間以内に発送ができなかった場合は100台湾ドル(約350円)のポイントが付与される仕組みになっています。さらに18時までの注文で翌日12時までには届くというスピード感ある配送サービスが特徴です。

日本にも5,000円以上で送料無料などがありますが、PChome 24hでも490元(約1,800円)以上の購入で送料無料となります。まとめて購入することでお得に利用できるので、日用品や飲料水などをスーパーやドラッグストアなどの実店舗よりインターネットショッピングで済ませる方も多いでしょう。

台湾で人気のECサイト②Yahoo!奇摩

https://tw.yahoo.com/

「Yahoo!奇摩」は日本でもお馴染みYahoo!JAPANの台湾版ECショッピングサイトです。2006年に台湾の大手ショッピングサイト「奇摩站」をヤフーが買収したことで、奇摩(きも)を残して「Yahoo!奇摩」となりました。

台湾のYahoo!奇摩とYahoo!JAPANが運営している「ヤフオク!(Yahooオークション)」が提携したことによって、「ヤフオク!」で購入し台湾在住者まで海外発送ができるようになりました。そのため台湾国内では手に入れることが難しい日本のアニメグッズや雑貨なども、国内ECのように簡単に手に入れることが可能です。

配送について台湾国内で販売しているものであれば首都北京市内では8時間以内の配送、北京以外の地域では24時間以内に届けられるような仕組みづくりになっています。

台湾で人気のECサイト③momo購物網

https://www.momoshop.com.tw/main/Main.jsp

「momo購物網」は台湾で有名な携帯キャリアや銀行を持つ富邦グループが運営しています。生活用品に加え、有名ブランドのアウトレット品・化粧品・アパレルグッズ・人気レストランのクーポン、さらには24時間限定のお得なセール商品など女性を主にターゲットにした品揃えが特徴です。

基本的に購入から24時間以内に配送され、首都の台北付近エリアであれば午前中に注文することで夜には到着されるスピード配送です。さらに台湾国内の発送以外にも、中国への発送も開始しマーケットを広げています。

台湾の越境ECを始める前に知るべき注意点と課題

日本製品ブランドの信頼性の高さから比較的ハードルが低い台湾の越境ECと言われていますが、気をつけなればならない注意点もいくつかあります。

法律面(景品表示法・薬事法など)

台湾越境ECで販売する場合商品パッケージは日本語表記のままで販売は可能ですが、台湾人の消費者向けに広告やラベルなどのテキスト表示は台湾で使われている繁体字中国語にしなければなりません。

そして台湾だけに限ったことではないですが、越境ECを運用するにあたって注意しなければならないことが法律面です。特に化粧品・健康食品などを取扱う企業は「薬事法」や、たばこや酒類といった年齢確認が必要なものについても気をつけなければなりません。

また「景品表示法」についても注意が必要です。台湾のTVチャンネル数は数十以上もあり、それぞれの番組で新しいニュースネタを取り上げようとメディアや視聴者から大々的に批判をされる例も多いです。ハードルは高くなりますが安全にビジネスを行う日本企業にとっては、薬事法や景品表示法などの法律面を正しく理解する必要があります。

課税関係(関税・貨物税・営業税など)

台湾に拠点を置いていない海外企業が台湾で商品を販売するのは貿易取引となるため、関税・貨物税・営業税の対象となります。

関税については「30日以内に2回以上送付された場合あるいは、6カ月以内に6回以上送付された場合」の頻繁な取引に関しては免税対象外です。ただし小口配送に関する税制については、台湾ドル3,000元(約1万800円)以下の少額越境取引は免税となります。

その他課税対象となるのは商品の種類によって異なる場合や、台湾に課税法人のある場合など条件によって税率が異なるのでチェックが必要です。

返品や交換などの現地アフターフォローが必要

台湾での商品の返品はクレジットカード払いよりも後払いで購入する人の方が、返品率の高い傾向にあります。日本よりも抵抗なく返品する割合が多いということを意識し、返品や交換といったアフターフォロー(現地対応策)を考えておく必要があります。

定期購入でのトラブル

健康食品・化粧品・飲料水などいった商品を定期的に届ける定期購入は日本では馴染みのあるものの、台湾文化にはあまり浸透していません。そのため一度購入した後にまた商品が送られてくることやクレジットカードから引き落とされることで不正利用と勘違いしクレームに繋がってしまいます。

決済方法の選択肢を増やす

日本国内のECサイトで購入する場合の支払い方法には、通常クレジットカード払い・ATM振込・代引き決済です。台湾でのECサイト決済方法ではそれらに加えPaypalなどの「電子マネー決済」や、受け取ってから支払う「代引き決済」も多く利用されています。コンビニ受取・コンビニ後払いができる決済方法を取り入れることを視野に入れましょう。

Facebookを利用したプロモーション

台湾はPCよりもスマートフォンを使ったモバイルECが主流で、全インターネットユーザーのうち97%もの人がFacebookを利用しています。そのためFacebookを利用したプロモーションやクーポン配信ツールとしても最適で、インフルエンサーの影響力で効果的にマーケティング力を高めることもできます。

既存の顧客とはチャットやメッセンジャーを使ったやり取りも行われるため、Facebookの利用は欠かせません。

まとめ

台湾の越境ECについて解説しました。

まとめると

  • 台湾越境EC市場の特徴は「未婚率・購買欲・親日度の高さ、整ったインフラ環境・利便性が高いコンビニ受取、日本限定商品は高価でも購入する」
  • 台湾を代表するECサイトは「PChome 24h、Yahoo!奇摩、momo購物網」
  • 台湾の越境ECを始める前に知るべき注意点と課題は「法律面や課税関係を理解しておく、 返品や交換などの現地アフターフォローの必須、定期購入でのトラブルを避ける、決済方法増やす、多くの国民が利用しているFacebookでのプロモーション」

です。

国際的なビジネスには理解しておくべき点やそれを踏まえたビジネス戦略を立てる必要は大いにありますが、親日家でも知られる台湾での越境ECは進出ハードルの低さや右肩上がりの市場規模は今後も大きな期待が魅力的といえるでしょう。

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