海外進出で成功する企業の共通点とは?進出前にやるべき行動まで解説

日本では少子高齢化や人口減が進み、国内市場で十分な売上・利益や顧客確保が難しくなってきていることから、海外展開する企業が増加しています。世界の人口は2019年時点で77億人、2030年には85億人、2050年には100億人を超えると予想されています。

アフリカやアジアでも拡大は大きくなり、その中でも東南アジアでの経済発展や富裕層も増えてくるとして世界中で注目の進出国となっているのです。

しかし会社の規模を大きくできる可能性があるとしても、海外進出はやはりハードルが高く感じてしまうものです。実際に検討している企業でも「どのようなポイントを抑えていけば成功へと導いていけるのか」「どんな行動をとっていけばいいのか」と悩む方もいるのではないでしょうか。

そこで今回はこれから海外進出を検討している企業に向けて、「海外進出で成功するための行動や共通点」と「海外で成功した日本企業の事例」と合わせて紹介していきます。

具体的には、

  • 「海外進出推移」と「成功率」とは?
  • 海外進出で「成功する企業に共通する6つの特徴」
  • 海外進出する前に「やっておくべき3つの行動」
  • 海外進出で「成功した日本企業の事例」

について徹底解説していきます。既に海外進出を行っているがまだ成功していない企業の場合は、この記事を見て今一度確認してみるのもよいでしょう。

「海外進出での失敗理由や対策方法」について詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひご覧下さい。
記事タイトル「なぜ海外進出で失敗する企業が多い?失敗理由とリスク減の対策方法」

「海外進出推移」と「成功率」とは?

まずはどれほどの日系企業が海外進出しているのか、区分別、国・地域別に推移を見ていきましょう。

日系企業数推移

出典:外務省「平成30年度要約版 海外在留邦人数調整統計」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000368753.pdf

外務省が発表しているデータによると、日系企業(拠点)数の推移は全体的に5.17%の増加傾向にあります。特にアジアでの拡大は大きく、平成20年では38,380拠点だったのが平成29年になると約1.3倍の52,860拠点まで増えているのが分かります。

区分別日系企業数の推移

出典:外務省「平成30年度要約版 海外在留邦人数調整統計」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000368753.pdf

全体でみると推移は平成17年35,134拠点から、平成29年75,531拠点まで増えています。区分別に見ていくと「本邦企業」は平成17年から平成29年までそれほど変化はありませんが、「現地法人企業」と「区分不明(現地法人化されているか否かが不明な日系企業)」が大きく増加しているため全体を引き上げていることが分かります。

国・地域別の海外進出進出状況

中小企業白書「2014年中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来」https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/09Hakusyo_part3_chap4_web.pdf

アジアは日本や米国・欧州と比べて人件費、原材料費、製造原価などのコストを抑えられるとして、中小・大企業問わず人気が高いエリアとなっています。特に中国はその傾向が強く「世界の工場」として海外進出する国で人気のピークを迎えたのは2003年頃です。中国の大きな経済成長とともに人件費などのコストが高騰してきたことによって徐々に減少する一方で、東南アジアの注目が増加してきたのです。特にベトナム、ミャンマー、フィリピンなどインフラが整ってきている中で未だ物価やコスト面で抑えられるとして、ポスト中国として世界が注目する進出国になるのもそう遠くはないでしょう。

海外進出の成功率とは

中小企業白書「2014年中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来」https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/09Hakusyo_part3_chap4_web.pdf

海外進出している企業の成功率は、平均すると30%~40%となっています。輸出をしている企業のアンケートでは、「売上高の増加」は約70%、「企業の将来性」約65%、「利益の増加」約60%の企業が「(やや)良い影響を与えた」と答えています。

しかし「経営管理の高度化」「資金繰り」「国内雇用の増加」に関しては、平均60%の企業が「どちらとも言えない/(やや)悪い」と良い影響・悪い影響どちらも一定のリスクがあることが分かります。

海外進出で「成功する企業に共通する6つの特徴」

成功する確率は全体の3~4割程度であったことが理解できたかと思いますが、それらの成功している企業はどのようなことをして成功へと繋げていけたのでしょうか。海外で成功した企業に共通する6つの特徴を紹介していきます。

ローカライズ戦略で現地利用者の心を掴んでいる

ローカライズ(現地化)を意識して戦略を立てていることが大切です。ローカライズ戦略とは日本で成功した事例を海外でそのまま販売するのではなく、進出国の歴史的・文化的背景、商習慣、地域性など現地に沿ってビジネス戦略を立てていくことを言います。

日本でも同じことが言えますが、海外進出の場合でも国や地域が異なればニーズ、宗教、地域性、言語(方言)などが異なり、特に中国や米国のように広大なエリアと人口が多ければ価値観や嗜好性の違いは大きくなることでしょう。省庁やコンサルタントが発表している各国の国民性・文化・習慣などの集めたデータと、実際に現地へ足を運び自分の目・耳で感じることや消費者に直接話を聞いてみることでズレに気づけることがあります。

ここで気をつけなければならないのは、進出または販売する国・地域やターゲット層によっては「ローカライズしたほうが良い場合」と「しない方が良い場合」があります。ローカライズした方がいい場合の例では、食品であれば現地の「習慣」「文化」「規制」を考慮し味付けを現地好みに合わせていくことです。また宗教的・文化的に禁止されているものが多いのであれば「ハラル(ハラール)」「ヴィーガン」「ベジタリアン」といったように原材料を現地向けに対応する方法もあるでしょう。

一方でローカライズしない方が良い例は、既に認知されている「商品」「店名」「日本製ブランド価値」が現地で受け入れられている場合です。デザインや商品内容は日本とほぼ同じにし、現地に受け入れやすくイメージしやすい色使いを使用しつつ日本語と現地語でパッケージにするなど、あえて日本製を前面に出す方法が良いということです。ターゲット層を明確化することや市場・ニーズに対応し、利用者の心を掴んでいきましょう。

ニーズを把握するための徹底した事前調査

現地のニーズを正しく把握するための事前調査が大事です。まずニーズには「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類があることを理解しておきましょう。

顕在ニーズは「この商品・サービスが欲しい」という消費者にとって必要性を強く自覚している場合で、その需要に合わせて提供することを言います。例えば「キレイに痩せたい」「夜ぐっすり眠りたい」という明確な目的を自覚している人は、ダイエット商品や睡眠の質を高める寝具を求めているということです。

一方で潜在ニーズとは、顧客自身ですら気づいていない悩みや課題のことです。先ほどの例で言えば「キレイに痩せて、健康を取り戻したい」「夜ぐっすり眠って、仕事のパフォーマンスを上げたい」のように、顕在ニーズを満たし解決するため商品やサービスを開発し新規顧客を掴むことが可能となります。

それぞれのニーズやターゲット層に合わせてどのような調査方法を使って情報収集すればいいのか、具体的にどのようなことを調査しなければいけないのかが把握できるはずです。顧客の課題をうまく引き出して大きなビジネスチャンスを手に入れましょう。

サポートしてくれる現地パートナーがいる

自社のみで海外展開していくのは非常に難しく稀なことです。そのため進出国や市場を良く知る現地パートナーの協力が必要です。

現地パートナー選びは自社で探すか、ジェトロ(日本貿易振興機関)などの現地パートナー選定プログラムを利用してマッチングしていくことが一般的です。そしてパートナーに出会ったら「行動・思考・目指すべきゴール」の質を上げていくために、関係性を上げていくことで成功の道へと繋げていきます。

パートナー企業と直接会う回数を減らしてオンラインミーティングのみで情報を共有し、結果だけを追い求めるばかりでは良い関係は築いていけません。現地に寄り添った文化の理解や雑談など、一見関係ないと思うことでも意識することで関係性の質を高めていくことができます。関係性が良好になればアイディアが生まれることや、新たな現地パートナー企業が紹介してくれることもあるでしょう。

自社の強みを再確認し、生かしている

先ほど述べたように、現地顧客のニーズを把握することはとても大切なことです。それとともに自社の強みを再確認し、活かしていくことが重要となります。商習慣やニーズに応えていくことで顧客は獲得できるかもしれませんが、同じ方法でライバル企業が参入していけば競合他社が増えるだけです。高品質、信頼度、迅速、手厚いサービスやメンテナンス、実績などしっかり把握しておけば、自社の商品・サービスの価値を上げることにつながっていけるでしょう。

販売先を十分に確保している

中小企業白書「2014年中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来」https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/09Hakusyo_part3_chap4_web.pdf

海外進出で売上増加の成功と失敗の分かれ道は、販売先の確保を十分に確保できるかがポイントです。中小企業白書の資料によると「売上高が増加した企業」では約60%が販売先確保を十分に取り組めており、事業継続や事業拡大をするステップへと繋げています。一方で「売上高が増加しなかった企業」の約70%が十分に取り組めていないか、取り組んでいるがうまくいっていないケースが多くなっています。

今回は輸出成功の重要な取り組みですが、他の業種でも同じようなことが言えます。つまり海外進出する前にどれだけ販売先の確保ができるか、そしてコンサルタントやパートナー企業の確保が重要となります。

コミュニケーションが取れる人材を現地に送っている

現地の文化、商習慣、常識を十分に把握・理解した上で経営や運営をしていくためには、コミュニケーションに長け課題を見逃さない優秀な人材を現地へ送ることが大切です。

現地と関わらなければならないのは経営やパートナー企業だけでなく、現地採用した人材の教育にも必要となります。そして市場調査、現地の消費感覚、現地の課題点などインターネットや調査会社だけで把握することができない情報を把握するためにも重要です。そのためには日本人のリサーチや感覚だけでビジネスを進めることは困難となるため、現地の感覚や文化を知る現地スタッフのいることが成功への近道となります。

特に会社規模が大きくなればなるほど組織を強化していかなければならないので、教育環境を整えマネジメント力の高い人材を作り上げていくことも重要です。

海外進出する前に「やっておくべき3つの行動」

海外進出は現地で実際にビジネスを行うことからではなく、進出前の行動が成功を左右する需要なカギを握っています。海外進出する企業にとってやっておくべき行動3つを紹介していきます。

失敗要因を把握と対策をしておく

出典:中小企業庁「―成功と失敗の要因を探る」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/09Hakusyo_part3_chap4_web.pdf

これまで海外進出してきた日本企業がどの地域・業態で、どのような要因で進出失敗してしまったのか失敗事例を把握しておくことが大切です。そして自社でも同じ失敗をしないためにはどのようにしなければならないのか、さまざまなパターンの問題を想定し対策をとっておくことが重要です。海外進出で過去に撤退した日本企業の理由は下記があげられます。

  • 1位:環境の変化による販売不振(35.1%)
  • 2位:海外展開を手動する人材の不足(22.2%)
  • 3位:現地の法制度・商習慣の問題(19.3%)
  • 4位:人件費の高騰等による採算の悪化(19.1%)
  • 5位:従業員の確保・育成・管理の困難性(17.9%)
  • 6位:経済情勢の悪化(16.2%)
  • 7位:親会社の事業戦略変更等による再編(14.8%)
  • 8位:直接投資先の資金繰りの悪化(13.6%)
  • 9位:提携先・アドバイザーとの関係悪化(12.4%)
  • 10位:商品・サービスの質の確保困難(11.2%)
  • 11位:政治情勢の悪化(9.3%)
  • 12位:その他(6.2%)

撤退時の基準やプランを明確に決めておく

海外進出しトラブルや災害など撤退を余儀なくされた場合には、ダメージを最小限に抑えるため撤退実行計画を決めておくことが重要です。撤退したいと考えていてもすぐできるわけではなく、時間・労力・資金が必要となります。一般的な海外撤退方法は、持ち分譲渡、破産、清算/解散があります。合弁企業と進出した際には持ち株の売却や合弁会社の清算が必要です。国や契約によっては補償金や解約違約金などを支払い、損失が大きくなってしまうことがあります。

そして撤退には経営がどのような状態になったら撤退しなければならないのか、具体的な基準を決めておくことも重要となります。例えば「進出3年間で計画していた利益をあげられない場合には、ビジネス戦略の見直しをするか撤退または移転をする」のように、「期間」と「売上や赤字などの金額」の設定を明確に示しておきます。海外へ進出した事業だけでなく本業である国内事業にも悪影響が及ばせないためにも必要なことです。スムーズかつ損失を最小限に抑えられるよう、撤退に詳しい法律事務所や手助けするパートナーを事前に見つけておきましょう。

現地規制・商習慣の違いを理解しておく

売上や利益を確保するため、市場の動向やニーズなどの情報周は海外進出には欠かせません。しかし国や地域によって規制・商習慣は異なりビジネスに大きな影響を与えてしまうことがあるため、進出前に念入りな調査で理解しておくことが必要です。進出国で規則に反することをした場合、取引停止、罰則や罰金を科さられる可能性もあります。外国資本の場合はビジネスの制限がかかることも多いため、自社の進出形態と合わせて外資規制が適用される業種なのか、条件を確認しましょう。

また日本と海外のビジネスマナーや商習慣の違いを理解しておく必要があります。例えば「決断スピード」「交渉やミーティングでの考え方」「働き方や退職に対する考え方」「取引先との付き合い方」「食事やお酒でのマナー」など国や地域によってさまざま違いがあります。日本では当たり前のことが海外ではタブーとなってしまい事業や信頼関係にダメージがないよう、商習慣、文化、宗教、国民性まで把握しておきましょう。

海外進出で「成功した日本企業の事例」

海外へ進出し成功した日本企業の事例を2つ紹介していきます。

事例①株式会社ファミリーマート

1981年に日本で設立した株式会社ファミリーマートは、フランチャイズシステムを導入した大手コンビニエンスストア事業を行っている会社です。2020年8月時点の国内店舗数は16,634店舗、海外店舗数は8,141店舗の合計24,775店舗を展開しています。海外の進出国は台湾の3,056店舗が最も多く、その他の進出先はタイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、中国となっています。

これほど海外で展開できた要因には、「文化の違いによる生産性」がカギを握っています。日本では人件費を抑えながら無駄な時間を使わないようにマルチタスクで業務を進めることが当たり前ですが、アジアでは一点集中型のシングルタスクが一般的です。複数の業務をこなせるように教育を押し付けるのではなく、教育の過程でリーダーを任せられそうな人材で、マルチタスクが出来る人材を見つけます。そしてそのリーダーを中心に他のスタッフにもマルチタスクで生産性が上がる必要性を徐々に慣らしていくことで業務の改善されて行きました。

事例②味の素株式会社

味の素株式会社は味の素やほんだし等の「調味料」、インスタントスープや即席合わせ調味料などの「加工食品」、顆粒やゼリータイプなどの「アミノ酸含有食品」などを取扱う食品会社です。1917年に初めて日本国外進出でニューヨーク事務所を開設して以来、2017年には海外進出100周年を超えました。現在ではヨーロッパ・アフリカ、北米・中南米、そしてアジアを中心に30の拠点、130を超える国・地域でグローバル展開を行っています。

味の素が世界で成功した要因はまず人口の多い国・地域で進出し、そこで「見つける」「届ける」「伝える」の3つの力を発揮してきたことです。ひとつ目の「見つける力」は世界各国で販売していますが現地の嗜好性や食習慣を徹底調査し、そして味は現地の人に受け入れやすいように日本は口出さず現地に適した商品を開発しています。

ふたつ目の「届ける力」はユーザーが手に入れやすく使いやすくするため販売先を広げ、価格や容量まで各国・地域に最適な商品を提供していることです。

みっつ目の「伝える力」でブランドをどのように伝えていくかという戦略です。商品が良いと感じてもらえても、企業ブランドであるAJINOMOTOを覚えてもらえないことが課題となっています。そのため現地の人にとって親しみやすく、覚えられやすく、受け入れられやすいようなネーミングを採用することも重要となるようです。

まとめ

今回は既に海外進出を行っているが成功していない方、そしてこれから海外進出を検討されている企業に向けて、海外進出で「成功するための行動」や「成功した日本企業の共通点」について紹介しました。

日本国内では市場の衰退から海外を検討、実際に進出している日系企業はこの10年間で約1.3倍に増加しています。そして進出した企業の成功率は3~4割で、成功への大きな要因となっているのが販売先を十分に確保できているかが重要です。それに伴いパートナー企業の協力が必要であることも分かったかと思います。

BeeCruiseでは海外進出する企業のベストパートナーになるよう、海外現地でのイベントや海外出展ノウハウなどプロモーションサポートや、海外発送・輸出入物流などのインフラサービスを行っています。2,000サイト以上の海外販売サポートの実績からさまざまなノウハウやデータを活用し、日本企業のみなさまが海外で大きく羽ばたけるようご提案いたします。ご興味がある方はこちらまでご相談ください。