海外向けKOLマーケティングを活用するメリットと手順を解説

KOLマーケティングとは

KOLマーケティングとは海外で発信力のあるKOL(キーオピニオンリーダー:Key Opinion Leader)を起用して、SNSなど特定のプラットフォームで自社の商品の紹介やサービスの訴求を行うマーケティング方法を指します。多くのフォロワーを持つ専門性の高いKOLによって発信される情報は信頼され、興味をもたれやすく、顧客の購買意欲を高める効果が期待できます。

KOL(キーオピニオンリーダー)という言葉は、元々医療業界で広い影響力を持つ医師を指す言葉として使われていました。現在では「世の中に影響力のある人」を指して使われるマーケティング用語としても使用されています。

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KOLとインフルエンサーの違い

KOLとインフルエンサーの違いは、専門性の有無です。例えば「美人女子大生がおすすめするアイシャドウ」と「世界的メイクアップアーティスト推薦のアイシャドウ」では、どちらに説得力があるでしょうか。前者がインフルエンサーで、後者がKOLです。専門性の高い玄人であるKOLによって発信される内容は、説得力と訴求力が高いといえます。単純に商品の販売促進や認知度向上を目的とする場合はインフルエンサーによるマーケティングでも十分ですが、信頼性の獲得やブランディングを目的とする場合には、KOLを使ったマーケティングの方がより効果的です。

海外向けKOLを利用するメリット

現地のKOLにより一度に認知度を上げられる

KOLはターゲット国で利用されるSNSで現地の多くのフォロワーを持っているため、KOLに商品の紹介や訴求を依頼するとフォロワーの多くに自社商品の情報を伝えることができます。自社SNSを通じて商品紹介するとフォロワーや認知度の上昇に時間がかかりますが、KOLを通じてマーケティングを展開することで、一度に多くのターゲットに向けた認知度向上が期待できます。

SNSより発信される口コミ、消費者目線の情報の信頼度が高い

自社が直接発信する情報よりも、消費者が普段から目にしており情報源にしているKOLから発信される口コミ情報のほうが、消費者にとっては信頼性が高いものと認識されます。特に偽物問題や食品の衛生安全問題の点で虚偽広告が問題となっているような中国では、マスメディア広告や企業によって直接展開される広告よりも、KOLによるSNSでの口コミ情報や消費者目線の情報価値のほうが高いと認識されています。

日本にいながら海外消費者に向けてアピールできる

海外KOLへの依頼は、日本にいながら行うことができます。そのため、ターゲットとする国に直接赴いたり拠点を設置したりしなくても、現地のターゲットとなる消費者へアプローチし認知を高めることができます。日本にいながら海外展開に向けたマーケティングが実施できるのは大きなメリットといえます。

KOLマーケティングに利用されるプラットフォーム

海外KOLマーケティングでは、SNSのプラットフォームを活用して商品の情報をアピールします。KOLマーケティングでは多くの地域でYoutubeやInstagramが利用されますが、中国ではインターネットの検閲により海外SNSの利用が規制されているため、中国のSNSであるWeChat、Weibo、Redが利用されます。TikTokも中国発のSNSですが、現在では世界中で利用されています。

Youtube

Youtubeは、アメリカのGoogle社が提供する世界最大の動画共有サービスで、公式情報によると世界のインターネット人口の約3分の1にあたる20億人以上のユーザーが毎月利用しています。Youtubeには直接広告を出稿することもできますが、KOLにYoutube上で自社の商品のアピールを依頼することで、KOLのフォロワーに対して自社商品について認知を広げることができます。

Facebook

FacebookはアメリカのFacebook社が運営する世界最大のSNSです。Facebookのほか、写真共有アプリのInstagram、メッセンジャーアプリのFacebook MessangerとWhatsAppを提供しています。日本国内の利用者は減少傾向にあり(2020年3月現在、2600万人)ユーザーの年齢層が上昇していますが、世界全体では26億人のユーザーがいます。海外では若年層にも頻繁に利用されており、また世界全体のユーザー数は前年比10%増(2020年3月時点)と新規ユーザーを獲得し続けています。

Instagram

Instagramは、アメリカのFacebook社が運営する写真共有SNSです。国内では3300万人、海外では10億人のユーザーを持つSNSです。世界的に10〜20代の若年層に利用される傾向があります。1.2億人と最も多いユーザー数を持つアメリカでは、10代の73%は、Instagramが企業の新製品プロモーションにおいて個人にアプローチする最良の方法であると回答しています。

TikTok

TikTokは、中国のバイトダンス社によって2016年に運用が開始されたスマートフォン向けのショートムービープラットフォームです。現在世界150カ国以上で利用されており、アクティブユーザー数がひと月あたり1億人を超えるなど、目覚ましい成長を遂げています。スマートフォンで撮影した15秒のショートムービーを加工・編集することで簡単に投稿できるのが特徴です。無名のユーザーが初めて投稿した動画でも、少なくとも数百回は再生されるという新規動画への優遇措置が評価されています。TikTokのユーザーは10代の若者が中心となっています。

Weibo(微博)

Weiboは2009年に新浪公司によって公開されたマイクロブログサービスで、中国版Twitterといわれています。世界で7億人以上のユーザーを持ち、1日に平均で1.6億件の投稿がある大規模なSNSです。TwitterやFacebookのように個人が情報を投稿し、その投稿に対していいねやシェア、ブックマークなどを返すことで、ユーザー間でコミュニケーションを取ります。Weiboは利用者の多くが17〜30代前半とユーザー層が若く、購買意欲も高いことが特徴です。

WeChat(微信)

WeChatは中国系のIT企業であるテンセント社が2011年に開始したメッセンジャーSNSです。日本のLINEのようなアプリで、チャット機能や無料通話、投稿機能などを通じてコミュニケーションを取ります。WeChatはビジネスシーンでも頻繁に利用されており、名刺交換のような感覚でアカウント情報を交換します。ビジネスに必要なデータを、メールを利用する代わりにWeChat上でやり取りすることもあります。

Red(小红书)

Redは中国の小红书が運営するソーシャルコマースプラットフォームです。2019年7月時点で、登録ユーザー数は3億人以上、月間アクティブユーザー数は1億人以上となっています。日常生活にまつわる口コミ投稿型のSNSで、化粧品、ファッション、旅行、グルメなどの様々な体験が写真や動画を交えて投稿されます。アプリ内で商品を購入できる機能が特徴で、InstagramとAmazonがかけ合わさったようなプラットフォームです。中国の、特に若い女性に人気のアプリとなっています。

地域別のKOLマーケティング活用トレンド
次に、地域別のKOLマーケティングの状況を紹介します。

中国

中国のKOL市場規模は年々拡大しており、「中国网红经济发展研究报告」によると2018年の中国のKOL市場規模は約1000億円(日本円で約1兆7000億円)でした。2018年4月時点でKOLをフォローしているファンは中国全体で5.88億人おり、前年比25%と増加しました。中国のKOLは、商品を紹介して広告収入を得るだけでなく、KOL自身が自分でECショップを持ち商品を販売するようになってきているため、市場規模の拡大が続いています。

東南アジア

東南アジアでもKOL市場は拡大が続いており、人口動態が若くSNSが普及していることから、KOLマーケティングに最適な要素を多く含んでいます。東南アジアには、3億6000万人のインターネットユーザーがおり、そのうち90%は主にスマートフォンを介してインターネットを利用しています。インドネシア、タイ、シンガポール、ベトナムにおいて、Facebook、Instagram、Youtubeが人気のあるSNSプラットフォームとなっており、またTikTokのグローバルユーザの40%近くが東南アジアのユーザーです。

ヨーロッパ

ヨーロッパのインフルエンサーマーケティング市場は、Marqual IT Solutions Pvt. Ltdの調査によると2019年から2025年の間に年間平均で29.6%成長すると予想されています。ヨーロッパ人の多くが、商品を購入する前にオンラインでのレビューを考慮にいれ、インフルエンサーを通じて新しい商品やブランドを発見しています。

海外KOLマーケティングの手順

次に、海外KOLマーケティングを展開する際の手順を説明します。

商品とターゲット地域の選定

はじめに、自社のどの商品・サービスを紹介してもらうのか、どの地域に向けて発信するのかを決定します。初めて紹介する商品や地域である場合、事前に商品のニーズや競合についても調査しておきます。競合の商品に対して自社商品がもつ競争優位性を明確にしておくことで、海外KOLにどのような点を特にアピールして欲しいのか伝えることができ、より効果的なマーケティングを実現できます。

KOLとプラットフォームの選定

次に、紹介してもらいたい商品に合わせて、ターゲットとする地域で影響力を持つKOLを選定します。商品の特性やアピールしたいポイントを明確にし、フォロワーの特性や質を考慮しながら自社商品に合ったKOLとプラットフォームを選定することが重要です。

KOLは自社で直接KOLに依頼する方法と、KOLのキャスティング代行サービスを利用する2つの方法があります。自社で直接KOLに依頼する場合、適切なKOLを探して、KOLと直接コミュニケーションを取る必要があります。社内にKOLに詳しい人材、現地語を話せる人材や現地の商習慣が分かる人材がいる場合にはこのやり方でも可能ですが、KOLの選定からコンテンツのすり合わせ、発信後の効果の検証まで全て自社で行うのは、時間とコストがかかります。

KOLキャスティング代行サービスを利用する場合、自社が紹介したい商品と地域に合わせて多くの候補の中からKOL選定することができ、KOLとのコミュニケーションも代行業者に任せることができます。代行サービスの多くは海外KOLマーケティングに関してのノウハウを持っており、KOLの選定からSNSに投稿するコンテンツの企画・制作まで依頼することができます。

プロモーション内容の企画

KOLに発信してもらうプロモーション内容を企画します。競合の商品に対する優位性やアピールポイントを明確に伝え、費用対効果の高いプロモーションを企画します。

集客先のサイトをブラッシュアップ

KOLマーケティングの準備と合わせて、KOLマーケティングによって商品を認知したユーザーがたどり着く集客先のサイトを準備します。せっかくKOLで集客できても、問い合わせや商品の購入に至らなければマーケティングの意味がありません。KOLで集客したユーザーのコンバージョンをとり逃さない、最適で効果的なサイトを構築します。

海外KOLを選ぶ際の5つのポイント

海外KOLマーケティングにおいて、どのKOLを利用するかは重要です。以下では、自社がアピールしたい商品に合った海外KOLを選ぶ際のポイントを紹介します。

ターゲットを明確にする

1つめのポイントは、自社商品のターゲットを明確にすることです。性別や年齢だけでなく、職業、趣味、居住地、ライフスタイル、興味関心、抱えている悩みまで、具体的な人物像まで細かく設定します。ターゲットを明確にすることでより適切なKOLを選ぶことができ、効果の高いマーケティングを行うことができます。

自社商品のカテゴリーに合ったKOLを選ぶ

2つめのポイントは、自社商品のカテゴリーに合ったKOLを選ぶことです。具体的には、KOLの投稿内容と自社商品のカテゴリーが一致しているかどうかを確認します。化粧品であれば美容やファッションなど、KOLが特化しているカテゴリーが自社商品に合っているのかどうかを過去の投稿から見て確認しましょう。

KOLのファンと自社のターゲットを一致させる

3つめのポイントは、KOLが持つファンと自社のターゲットを一致させることです。女性KOLでも、化粧のテクニックに関する情報を得たいファンによってフォローされているKOLや、健康的な料理に関する情報を得たいファンによってフォローされているKOLなどファンの層は様々です。例えば、健康的な料理の情報を得るためにフォローしているファンに対して、突然自社の化粧品の情報を発信しても購入にはつながりにくいでしょう。どんなにフォロワーの多いKOLであっても、ファンの性別や年代、ライフスタイルが自社のターゲットとかけ離れている場合、マーケティングの効果は低くなると考えられます。したがって、自社ターゲットとKOLのファンの特徴が一致しているのかを事前に調査しておくことが重要です。

KOLの投稿に対するインプレッションを確認する

4つ目のポイントは、KOLの持つ影響力をフォロワー数以外からも客観的に測定することです。インプレッションというのは、広告の効果を表す指標で、「投稿が表示された回数」「いいねが押された回数」「シェアされた回数」などを指します。これらの客観的な数値を計測することで、KOLの実際の影響力を測ることができます。

仕事につなげるためにフォロワーをお金で買っているSNSユーザーもおり、そういったアカウントではフォロワーが何万人いても影響力はゼロといった場合もあります。本当に影響力のあるアカウントは、フォロワー数に加え、投稿に対するインプレッションが大きいです。フォロワーが多くKOLと名乗っているユーザーであっても、実際のインプレッションが少ない場合には、依頼は避けた方がいいでしょう。インプレッションの分析は、SNSに応じてツールを利用して測定可能です。

まとめ

SNSを利用する若年層が多いアジアの国々において、海外KOLマーケティングは自社商品を効率的にアピールし知名度を向上させることのできる有効的な手段だといえます。KOLを利用したマーケティングを行う際でも、ターゲットの設定と競合調査は重要です。自社商品の魅力を効果的に消費者に伝えることができるよう、慎重に適切なKOLを選定しましょう。

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